おねえさまは毎日タイクツ

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うるさいアラーム音で目を覚ます。昨日のことが未だに信じられなくて慌ててスマホを確認すると間違いなくそこには"??"の文字。よかった、夢じゃねぇ…ほっとしたついでにその人に"おはよう"とメッセージを送ってみる。しばらくして"おはよう"と可愛らしいスタンプの返信。一層安心してから家を出た。

「おーっす。」

あくまでいつも通り教室に入る。俺に気付いた切島と瀬呂が待ってましたと言わんばかりにこっちに寄ってくる。よしよし、予想通り。

「お前昨日放課後どうしたんだよ?」
「すげぇ急いで出てっちまって…」
「フッフッフッ…よくぞ聞いてくれました。」

まだピンときてない2人。ついに発表の時が来た。聞いて驚け、なんとこの俺…

「彼女できました!フゥー!」
《はぁ⁉》

2人の声がハモった。教室に響き渡る声で言い優越感に浸る。嘘だ嘘だと騒ぐ2人。いいさ、騒いでいたまえ。誰がなんと言おうと、俺には超絶美人な彼女ができたんだ。
俺の声を聞いた峰田が目を血走らせて駆け寄ってくる。

「お前!?先輩がいいって言ってたくせに!裏切り者!」

峰田の目の前にズイッと人差し指を立て、チッチッチッと揺らす。

「その??さんなんだよなー、コレが!」
「バカな!あんな美人がお前と付き合うわけ…」
「あるんだよ、俺も信じられなかったけどな。」

やべぇ、もう笑いが止まんねぇ。予鈴が鳴ってもまだ騒いでいる3人を無視して席に着く。
はぁ、今日もデートできねぇかなぁ…でも毎日誘ったらがっつきすぎか?会いてぇなー、見てるだけで癒されるもんなー。そんな浮ついた気持ちで1日を過ごし放課後を迎えると、ドアから聞き覚えのある声が俺を呼んだ。

『電気くーん。』
「?さん!」

ドアを見るとやっぱり愛しの?さん。クラス中の視線が彼女に集まる。注目の的の本人はそんなこと気にしていないようにヘラヘラ笑ってこちらに手を振っている。あれ?俺なんにも連絡してないよな。会いたいって念じすぎてまさかテレパシー通じちゃった?

『なんか、呼ばれた気がしたから来ちゃった。』

嘘だろ、マジかよ。愛の力ハンパねぇ。
感激している俺のもとに?さんが歩み寄ってくる。どんだけ幸せなんだ、みんな見ろ、この人が俺の彼女だぜ!あと一歩で俺の席、というところで?さんの前に切島が立ちはだかる。

「あの!上鳴と付き合ってるってマジっすか⁉」
『あー、うん。マジっすよ。』
「ほらな、言ったっしょ?
はい、どいたどいた。」

驚きのあまり呆然とする切島を押し退け、?さんにたどり着く。あぁ、今日もすげぇ美人だ。

「さ、帰ろっか。」
『うん。』

今日はどこに寄って帰ろうか、そんなことを考えながら俺達は教室を後にした。





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