おねえさまは毎日タイクツ

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相変わらず学校生活は退屈なものだが、最近の放課後は結構楽しませてもらっている。それは最近急にできた彼氏のおかげだろう。彼、上鳴電気くんは私の言動に対しいちいち焦ったり赤くなったりとコロコロ表情が変わるので見ていて飽きない。話したこともないくせに告白してきて、一体私のなにがそんなによかったんだろうか。そこについてはイマイチよくわからないが乗り掛かった船だ、付き合うと言ったからにはとことん彼女らしく振る舞おうと思っている。
どうやら今日から1年生は職場体験らしい。ということは、最近唯一の楽しみポイントである彼に会えない。またいつもの退屈な日々に逆戻りだ。とはいえ私も現在インターンの真っ最中である。そこだけは真面目にしなくては、プロヒーローに迷惑をかけるわけにはいかない。

「もうすっかり慣れたよね。」
『まぁそうですね、はい。』
「このまま卒業後もウチに来てくれるとすごく助かるよー。」

先輩からそう言われ、『そうですね』と笑って返す。きっとこのままの流れでそうなるんだろう。今までの人生はずっとそんな感じで、なんとなく流れる方に流されながら生きてきた。正直なところ特にこれといって強い願望も目標もない。だから毎日面白くないんだろうと言われればそうだと思う。昔から要領がよくて大抵のことは少しやればある程度のものになった。そのおかげで雄英も受験可能圏内で、じゃあ受けてみるかぐらいのテンションで受けた所謂記念受験だ。そしたらなぜだかラッキーなことに受かった、ただそれだけの理由でヒーローになろうとしている。今もパトロールをしながら退屈だなーなんか起きないかなーとヒーローには到底相応しくないことを少し考えてしまっている辺り、私はヒーローには向いてないんじゃないかと思う。

「…わかりました、応援向かいます!
交通事故だって、行こうか!」

どこかのヒーロー事務所からの応援要請。あまりにもタイミングがよすぎて私がなにか起きろだなんて考えてしまったからか?と反省した。
事故現場に着くともう人は救出された後だった。どうやらそんなに大きな事故ではなかったようだ。事故の処理は先輩方プロにお任せして軽傷者の手当てでも…と辺りを見渡した時、最近よく目にする金髪を見つけた。そういえば活動地域を教えてくれた時に近いなーと思ったんだった。でもまさか遭遇するとは。彼は今初めての職場体験中だ、邪魔してしまわないようにあえて声はかけないでおこう。それにしても、なんだかコスチューム姿までチャラいな。
と、そんな場合じゃない、私もインターン中だった。本来のやるべきことを思い出して改めて周りを見ると、小さな男の子が泣いているのを見つけた。

『ぼく、大丈夫かな?どこか痛い?』
「グスッ…オールマイトのっ、お人形がっ…どっか行っちゃったのっ。」

見たところ特に怪我はなさそうで、ただただ人形をなくして泣いているようだった。こんなにプロヒーローがいるんだ、私がすることも特にないか、とまたヒーローらしからぬことを考えて男の子に『ちょっと待っててね』と言葉をかける。





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