おねえさまは毎日タイクツ

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なんて綺麗な横顔なんだろう。睫毛なっが。髪を耳にかける仕草もセクシーだし、それになんかいい匂いがする。この前見たヒーローコスチュームもよかったけど、やっぱり制服姿もいいな。

『…?どっかわかんないとこあった?』
「あ、いや…えっと…」
『何問目ー?』

グイッと顔を近付けて俺のノートを覗き込んでくる?さん。そう、俺らは今図書室で一緒に勉強するといういかにも学生カップルっぽいことをしている。迫りくる期末テストの恐怖を洩らしたら『じゃあ一緒に勉強する?』と素敵な提案をしてもらった。その時は最高だと思って「お願いします!」と即答したけど、正直この状況に浮かれてしまって勉強どころじゃなくて困る。?さんに見惚れて手が止まってしまうのを都合良く解釈してくれ、教えてくれるけど全然頭に入ってこない。

『…ってことなんだけど、わかった?』
「えーっと…」
『ふふっ、聞いてなかったっしょ?』
「…?さんが綺麗すぎて、つい。」
『もう、ほんとチャラい。』

お世辞とかじゃなくてマジで思ってるのにな。呆れたようにため息を吐きながらも、もう1度説明してくれる?さん。嬉しいけど、近い。マジでなんにも頭に入ってこない、やべぇ、このままじゃ補習地獄だ。でも今が幸せすぎるしいいか、いや合宿は行きたいしな…そんなことをグルグル考えてると?さんを呼ぶ声がした。

「あれ、?が勉強してるなんて珍しいー。
ウワサの彼氏くん?ヒューヒュー。」
『ちょ、いいから、あっち行って。』
「はいはい、また明日ねー。」
『はいおつかれー。』

友達だろうか、めんどくさそうにしっしっとする?さん。ていうか俺ウワサになってんだ。どんなウワサだろう。気にはなるけど?さんの彼氏として周知されていることが嬉しくて少し頬が緩む。珍しいってことは普段勉強してないってことか?素で頭がいいのか?

「?さんってやっぱ頭いいんだ?」
『え、なんでそうなんの?』
「勉強してるの珍しいって…」
『あー、個性ダウジングだし?』

すげぇ!テストで出る問題わかるってことか!じゃあ?さんに教えてもらえばどこが出るかわかったりして…

『悪いこと考えてない?冗談だよ。
さすがにそこまで便利じゃないから。』

はははっ、と笑われてガッカリ半分、恥ずかしさ半分。そうだよな、ヒーロー目指そうってのになに考えてんだ俺。

『でも、先輩として出そうなとこの予想はしてあげるからさ。
私の勘、結構当たるよー。』
「あざっす!」

?さんに教えてもらっておきながら、赤点なんてとってられねー。そう気を取り直してシャーペンを握った。





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