元アイドルとの生活

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おかしい、なにをどう考えてもおかしい。いつもより?ちゃんが近い。なんで僕は?ちゃんに腕枕をしてるんだ。いやいやいやいや、意味わかんないから。待って待って…確か?ちゃんと飲みに行って、?ちゃんにしこたま飲まされて…ダメだ、その先の記憶がない。というか!
慌てて布団を捲り上げ、自分の服を確認する。
よかった、ちゃんとお互い服着てる。?ちゃんにはなにもしてないようだ。少し自分の童貞加減が嫌になる。

『んーっ、チョロ松?』
「わっ、おはようっ!」

布団を捲った勢いで?ちゃんが目を覚ました。が、未だその頭は僕の腕の上にある。

「あの、これどういう状況かな?」

上擦る声でそう聞くと、まだ眠いのか目を擦りながら?ちゃんがあくびをする。そんな姿も可愛いね!じゃなくて、まずこの状況を把握しないと。

『んー?覚えてないの?なんにも?』
「?ちゃんに飲まされてからなんにも」
『公開告白は?』
「公開告白っ⁉なにそれ⁉僕そんなことしたの⁉」
『ちょっ、うるさい』

眉をひそめる?ちゃん。そんなことより公開告白ってなんだ!そんな覚えこれっぽっちもないぞ!恥ずかしすぎてケツ毛燃えるわ!

『そっかー、覚えてないのかー。面白くないな。』
「いやいやいや、面白いとかそういう問題じゃないでしょ!僕なんて言ったの⁉」

僕のポリシーは紳士的に、だ。好意を出し過ぎてうざがられないように、あくまで紳士的に、スマートに。それなのに、それなのに!公開告白だなんて!

『なんて言ったかはー…内緒。』

へへっ、と笑う?ちゃんはいつにも増して愛くるしい。

『とりあえず、頑張った童貞にご褒美として同じ布団で寝てあげました。』

なんのご褒美だよ!確かにご褒美だけれども!記憶がなさすぎてもったいない!

『というわけで、もうちょい寝るわ。』
「えっ、えっ、ちょっとっ!」

ち、近い!目を閉じて僕の胸に顔を埋める?ちゃんからいい匂いがする。あ、やばい…ちょっと勃って…いやいや、落ち着け!約束しただろ、なにがあっても?ちゃんが好きと言ってくれるまでは絶対にそういうことはしないんだ。童貞に二言はない!

『大丈夫だよ。』
「え?」

大丈夫ってなに⁉いいってこと⁉ついに卒業ってこと⁉

『ちゃんと貯金できるまでは、この家で一緒にいてあげる。』
「あ、うん。ありがとう。」

そういう意味の大丈夫ね。少し残念な気持ちもあるけど、なによりもうしばらくは?ちゃんが出て行くことはないという安心感が胸を満たしていく。
?ちゃんの寝息が再び聞こえ始め、僕もそっと目を閉じた。



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