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□先攻:俺
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「ねみー」
ソファでゴロッと寝返りをうちながら、そう気怠げに言う彼の名は、奈良シカマル。
「はー?折角お前んち来たのによー」
そう、俺犬塚キバは今、シカマル宅にお邪魔している。
そして俺達は交際している。
こんな風に2人揃って過ごす事は、もう数え切れないほどしている事だ。だが、最近はお互い任務が増えたり、やたらと時間のかかる任務を押し付けられたりと、だんだんと忙しくなっている。だからこそ、できるだけこの時間を貴重に過ごしたいのだが…。
「はぁ、寝ちまった。」
そう、彼は寝てしまったのだ。
こんなにも貴重な時間を睡眠に費やすなんて…
信じらんねぇ!

する事がなくなった俺は、ただ只寝ている彼を眺めていた。
あー、起きねぇかな。
たが、固く閉じられた瞼は、一向に開く気配を見せない。
気持ち良さそうに寝やがって…!
なんだか苛立ちと悔しさがこみ上がってきた。だけど此処は沈めて…。
「シカマルー」
頬をつんつんと突き、呼びかけてみる。
だが、スースーと聞こえる規則正しい寝息から、起きていないことが特定できた。

ふと彼の唇に目線がいった。やけに整った柔らかそうな唇。触れた事はあるけれど、全て彼の方からの行為だった。自分から進んで重ねにいった事は全くない。けど、自分からしてみたいと思っている。自分は一応男だ。
今、いいチャンスなんじゃねぇか?
そう思った俺は、早速実行する事に。
ふぅ、と一息ついて、リラックスする。だがなかなか抵抗があるものだ。緊張して体が動かねぇ。でも、このチャンスを逃せばもう自分からキスしにいく事なんて二度とないかもしれない。
覚悟を決めて、少しずつ顔を近づける。
起きるな、起きるなよ…!
先程と矛盾しているが、今はこれだけしか頭にない。
もう少し…
あと数センチ程となり、更に緊張感が増す。
ゆっくりとゆっくりと慎重に距離を縮め、よくやく唇を重ねる事ができた。
ぷにっという表現が似合う程、彼の唇は柔らかかった。
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