Book

□幸せのその先は《第1章》
1ページ/5ページ

それは盛大な式だった。


ゼンと白雪が結ばれた式は、ゼンと白雪が国民から人気であることも手伝い、国中を挙げてのお祭り騒ぎとなった。それはイザナ陛下が即位されたときに負けず劣らずの華やかさがあった。



多忙な中、数ヵ月間の準備を終え、自分達が主役である式典を無事終えたゼンと白雪は喜びと安堵に包まれていた。


「無事終わったな、白雪。」
「そうだね、ゼン。」


ほっと、二人で笑い合う。


安堵と喜びに包まれていたのはゼンと白雪だけではない。側近たちも同じであった。
「おめでとう。ゼン、白雪。」
「木々さん…!」
「無事今日を迎えられて嬉しい。私も。…ミツヒデも一言言ったら!」



涙が止まらないミツヒデは、式からずっと喋れない状態だった。

「俺は…!ゼンにこんな日が来たと思うと…感動して!なんで木々はそんなに平然としてるんだ」
「感動してるよ。すごく嬉しい。」
「うぅ…ゼン!白雪!末永く幸せにな!」
「ありがとうな」
そう言って、ゼンは幸せそうな笑みを浮かべた。

そこではたと、白雪が気づく。
「オビはどこに行ったの?」
「さぁ。そこらへんじゃない?」と木々。

あいつはこんなときまで、とゼンが笑うと、
「ここにいますよ、お嬢さん!」
と窓から声が降ってきた。

「オビ!結婚式、色々とありがとう。」
「いえいえ。綺麗でしたよ、お嬢さん。本当に…、主とお嬢さんで、本当にお似合いで。」

言葉に詰まる。
そして、オビは自分の主である二人にひざまづいた。


「俺は、二人にお仕えできて、幸せです。どうかずっと、お幸せに。」

心から、ゼンと白雪に出会えたこと。
二人の側にいれたこと。
大好きな二人が結ばれたこと。


オビにとって、全てが自分の幸せで。心からの笑顔で祝いの言葉を述べた。



「オビ…」


白雪とゼンにとっても同じ。
特にタンバルンやリリアスでも共にいた白雪にとって、オビの言葉は感慨深いものがあった。



「オビ。」

白雪は、ひざまづくオビにしゃがみ、目線を合わせて言った。


「次はオビの番だね。」


まっすぐな目で、白雪はオビにそう言った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ