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□幸せのその先は《第3章》
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「白雪様。王子に、今回のタンバルン訪問に私も付いていくようにと言われました。」
ゼンと話を終えた名無しさんは、白雪のいる薬室に来ていた。
「そうなんだ!良かった。ゼンに相談してたんです。いつもオビが来てくれるけど、名無しさんさんも来てくれたらいいなって。」
嬉しそうに白雪は微笑んだ。
と、突然窓から例のごとくオビが現れた。
「なに、今度のタンバルン行きメイドさんも来るの?」
「オビ!そうなんだよ。今度のタンバルンは名無しさんさんと一緒だよ。」
「ふーん。良かったね。正直着替えとか風呂とか気になってたんだよね〜」
「…オビ、それどういう意味?」
「そのまんまの意味だけど?」
ははは、とオビが意地悪い目をして笑う。
「あ、そうとなったら準備しなきゃだよね。タンバルンに行くとなるとしばらくクラリネスには帰れないし。名無しさんさんも一度家に帰られますか?」
そうですね、と名無しさんは答える。
城に来てからというものの慌ただしく時間が過ぎ、一度も家に帰れていない。
誰も住んでいない家だが、風通しもしておきたいし。
しばらく帰れないなら一度家に帰ろうと名無しさんは思った。
「ちょうど明日はお休みをいただいているので、一度家に帰ります。」
「え、明日非番?奇遇だね、俺も非番だよ」
「そうなんですか。オビ様もご自宅に帰られたりするんですか?」
オビも非番の日は家に帰るのかと、気軽に聞いたつもりだったが。
予想外の反応が返ってきたのだった。
「俺はそんなに準備なんてないし。それより明日暇だから、メイドさんに付いていっていい?」