脱色

□瀞霊廷通信インタビュー1
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九番隊副隊長である檜佐木修平が十番隊舎に訪れたのは、予定していた2時より5分早い時間だった。


「すいませーん!檜佐木ですけどー」

「はいはーい」

修平が十番隊執務室の扉をノックすると暫くして十番隊副隊長の金髪美女・松本乱菊がでてきた。

「いらっしゃい、随分早いのねぇ」

時計を見ながら問う乱菊に「早く来るのは編集者として当たり前っすよ」と少し照れながら言った。


「隊長、どうも」

乱菊の後ろには執務机があり、そこに十番隊隊長である日番谷冬獅郎が坐っていた。執務机は普通の大きさなのだが、日番谷が坐るともなると少しばかり机が大きく見えた。

「あぁ」

手元にあった書類をトントンと整えて小さく返事をした。

「はい、お茶。隊長も」

乱菊はいつの間にやら給湯室でお茶を沸かしていたらしく、「冷めちゃってますからね」と日番谷の机にあった湯呑茶碗をお盆にのせ「隊長専用」と大きく書かれた新しい湯呑茶碗をコトンと置き、急須の淹れたての緑茶を注いだ。修平の前に置いた「客人専用」と書かれた湯呑茶碗にも同じく緑茶を注いだ。


「で、そのインタビューってのは何分くらいかかるんだ?」
「30分くらいっす」

日番谷は乱菊に入れてもらった湯呑茶碗の上をそっと持ち、修平の座っているソファの向かい側のソファに腰を下ろした。続いて乱菊もお盆と日番谷の使用済み湯呑茶碗を給湯室に片付けに行き、修平の隣に腰をおろした。

「何でお前座ってんだよ・・・仕事だ仕事」

日番谷は緑茶を一口啜り、呆れたように指摘した。

「え、だってインタビューでしょ?」
「お前のじゃねぇ、俺のだ」
「知ってますよ」
「・・・じゃ何で・・・」

「だって隊長、嘘言うかもしれないから。あたしが付き添わないとっ」


乱菊はこの上なく上機嫌だった。でもそれは仕事をサボる事ができるからだと、日番谷だけでなく、他の隊である修平にすら分かっていた事だった。

「三番隊とは逆パターンか」と修平はイヅルの困り果てた顔が頭を過ぎった。


「嘘なんか吐くかよ!ったく・・・」

日番谷は呆れたように頭を抱えたが、暫くして「檜佐木、続けろ」と緑茶を啜った。


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