ライチ

□白百合少女。
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ライチが、死んでしまった。
タミヤくんも、ゼラって子も、みんな。

私は一人歌を歌い光クラブの跡地を後にした。

親は私のことを心配していたのだけど、根掘り葉掘り話を聞き出そうと一生懸命になっていた。
とてもじゃないけど、大切な恋人を亡くした私にとっては苦行でしかなかった。

「カノン、寂しかったでしょう。」

お母さんの言った『寂しい』という感情は光クラブに居た頃はなかった。
愛しいライチが居たから。

私は光クラブから帰ってきた日を境に日に日にライチに逢いたい気持ちが強くなっていった。
次第に学校へ行くのも億劫になっていた。
元々、私は学校が好きじゃなかった。

私を人形の様に扱う友人。
根も葉もないゴシップを生き甲斐とする子。
私を壊れ物の様に扱う過保護な教師。

私が学校に復帰するとそれがどんどんとエスカレートしていった。

1ヶ月経つと、私は自傷行為に走った。
綺麗に滴り堕ちる私の血は、私の心の傷を癒していた。
何故だか、すべてのことから赦されたような気がした。
あの日から私は確実に、真実を、現実を受け入れなくなっていった。

今度はライチと光クラブが嘘だったのでは無いのかとも思い始めた。

親は、何度も私を止めた。
でも、私にはそれですら疎ましく感じていた。

夢の中のライチはいつも私に笑いかけてくれた。
だから、私も笑うの。
思い出すたびに心臓が煩く鳴り響いてた。

あの、恋をしたときのズキズキとした痛みが、忘れようとするたびにやってくる。
その反動でドキドキと高鳴る心臓の音も耳障り。
どう考えても息を止める事しか、高鳴る心臓の音を止ませる方法はなかったのだ。

その日私は沢山の傷をつけて、生きることをやめた。

ほら、こうすればもう痛くない。

『ライチ、また会えたわね!』

逢いたかったわ。

『カノン!お願い目を覚ましてカノン!!!』

二度と逢いたくないわ。


『行きましょうライチ。』
『か、の...ん。』
『なぁに?ライチ。』
『愛シテイル。』
『ふふっ!私もよライチ!』

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