おそ松さん
□今はまだ
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「告白しないの?
うまく行くと思うけど」
「うまく行くかなんてわからないじゃないですか。
フラれたら私立ち直れないです」
今の彼に断る理由なんてないと思うけどと思ったが口には出さない。
変に口出しして拗れるのは避けたいのだ。
「私、人を好きになるのも、側にいたいと思うのも初めてなんです…
自分に自信もないのに、そんな簡単に告白なんてできません」
さくらは顔を真っ赤にしながら呟いた。
それを見て、トド松は頭を抱えたくなった。
「(あーーーー、もったいないなぁああ!
なんだよこれ小動物なの!?
これで相手がおそ松兄さんじゃなければ僕が狙いに行くのになー!)」
このさくらの様子をおそ松に見せてやりたい。
そうしたら、きっと彼は照れながらもデレデレに顔をニヤけさせるだろう。
「ま、おそ松兄さんさくらちゃんのこと気に入ってるみたいだし、頑張ってね」
「はい、私なりに頑張ってみます!」
応援してるよと付け足せば、さくらは照れつつも嬉しそうに笑った。
ホントにおそ松兄さんが好きなんだなーと、さくらを見ながら思っていた。
早くくっついて、幸せであってほしいなんて思う。
今までなら「抜け駆けするな!」と思っていたのに不思議だ。
「あ、そういえばノアの公演いつなの?」
「来週の日曜日です。
午後13時からと、17時半からので二回するんですよ」
「僕予定が空いてるから観に行くよ。いくらなの?」
「当日券だと1500円、前売りなら1000円です」
前売り券を買うならトド松達の分を確保しておくと言えば、トド松は他の兄弟達にも聞いてから買うから一応とっておいてほしいとお願いしてきた。
それに快く了承する。
「おそ松兄さんも行くと思うから、キャスト頑張ってね」
「う、そう言われると少し恥ずかしいですけど…
頑張ります!」
そう言うとさくらは拳を握った。
その時ちょうど客が来て二人は仕事に戻る。
おそ松が観に来てくれるかもしれない。
そう考えたら仕事も頑張れそうだった。
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