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□私とマフィア
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「(やっちまったなーーーー)」

私は心の中で大きなため息をついた。
やってしまった、こういうやつらには手を出すまいと決めていたのに。

私が今いるのは、マフィアと呼ばれる人達のアジト。
両手を後ろで縛られ、更には銃を持った男の見張り付き。
いつ撃たれるか分からない状況に顔がひきつる。

「(っとにもー、マフィアに関係する依頼だなんて聞いてないんですけどー……)」

知っていたら断ったのに。
いくら人殺しでも自分の見に危険が起こる仕事には関わりたくなかったのに。
なんと言うことだ。
私は、ハニートラップを使った暗殺を生業にして生きている。
でも、いくら暗殺でもマフィアやヤクザなんかには関わりたくない。
だって関わったら自分の命が危ないじゃない?
だから依頼を受ける時点で必ず確認するんだけど……
嵌められたかな。
殺した数はそこそこの人数だ。
私には平凡は死は似合わないから、死ぬならこーいう形だとは思ってた。
思ってたけど、それが今だとはなー……
もうちょっと生きたかった。
だって私、まだ22よ?
ピチピチよ?
困ったものだ。

「お前が例の暗殺者か?」

現れた顔は、六つとも同じだった。
訳がわからず思わず目が点になる。
なにこれ、幻覚?

「俺ら六つ子なんだ。
知らない?
松野っての。
こっちの世界じゃ有名だけど?」

その名前を聞いてはっとした。
思い出した、六つ子を筆頭に構成されたファミリー、松野。
結構ヤバイとこにも手を出してるマフィアだ。
因みに絶対関わりたくないマフィア一位だった。
ほんと最悪だ。

「そんで、俺らに関わった以上、どう責任取ってくれんの?」

おうおう、やっぱりそうなるか。
まぁ、ですよねー。
だってファミリーの人一人殺しちゃったもんねー!
ならない方がおかしいよねー!!
でもまぁ、足掻いてはみますか。

「ごめんなさい、私あなた達に繋がってるなんて思わなくて……
今後一切関わらないから、助けてください」

必殺、泣き落とし!
女の涙は武器なのよ!
この涙で何人もの男落としてるんだからね、こっちは。

「こんな身体で良ければ、好きにしてくださって良いですから……!」

ふふ、私はこれでも良い身体してんのよ?
ボン、キュ、ボンな理想的体型なんだから。
この身体に魅了されて私の虜になった男は沢山いるのよ!
さぁ、釘付けにでもなるがいいわ!
ほらほら、今なら見放題よ?
私は心の中の感情を全て隠して泣いた。

「……キッモ……」

ぼそりと呟かれた言葉に私の思考回路が停止する。
今なんつったこいつ。
この、真ん中の赤ネクタイ野郎。

「まじキメェ。
俺こんな女願い下げだわ」

ビッチっぽくて引くわーと言う赤ネクタイ野郎。
こいつかなり失礼だ。
誰がビッチだこの野郎。

「つーかなんであいつこんな女に殺されたの?
バカなの?
俺こういうのと関わりたくないんだけど」
「仕方ないだろ、騙されたんだから」
「っかー!あいつもバカだねぇ」

赤ネクタイ野郎はそう言って呆れ顔を浮かべる。
うわ、めっちゃバカにした顔だ。

「こんなキモイ女に騙されたとかあり得ねぇ」

その言葉に私はぶちギレた。

「ふっざけんなよ、このくそ野郎共が」





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