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□私のダーリン
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女の子の憧れ、ウェディングドレス。
華やかであり、美しいそれは、きっと世界中の女の子が人生の中で一番の目標だと思う。
そんな私も、小さい頃からずっとウェディングドレスに憧れてきた。
いつかは好きな人と、とずっと夢に見てきた。
そのウェディングドレスを、私はもうすぐ着ることになる。

3年程付き合った彼から、先日プロポーズされたのだ。
彼のことは大好きだし、私は結婚のことも勝手に考えていたものだから、正直嬉しかった。
すぐにyesの返事を伝え、晴れて婚約。
そして今日、結婚式で着るウェディングドレスを選びにきたのだ。
色とりどりのウェディングドレスに目を奪われる。
そんな中、私の愛するダーリンはというと……

「なぁ名前、このドレスなんかどうだ?
イカしてるぜ?
まるで地に降り立った天使のようじゃないか!」

相変わらずのイタ発言を連発しておりました。

私の婚約者、松野カラ松。
同じ歳の彼との出会いは、数年前に遡る。
その日、私は1年付き合った彼からフラレて落ち込んでいた。
仕事ばかりの私に愛想をつかしたとか、そんな理由。
正直落ち込んだし、悲しかった。
俺と仕事どっちが大事?ってなんなの。
そんなの同じくくりで考えるものじゃないじゃない。
納得のいかない理由に、町中にも関わらず涙が出てきたときだった。

「そこのカラ松girl、落とし物たぜ?」

そう言ってハンカチを手渡してきたのが、カラ松だった。
泣いている私を見て驚きつつも初対面なのに、なんとか必死に慰めてくれたカラ松。
そこから彼とはたまに会う関係になり、一緒に呑んだり話をしたりするようになった。
イタイ発言ばかりのカラ松だけど、彼と話すことで失恋の痛みは和らいでいった。
そして生まれ始めたのは、彼に対する恋心。
イタイ発言なんて多目に見てあげられるくらい、彼は優しくて他人想いだ。
そんな彼のことが愛しいし、大事にしたいと思ってる。
思ってるけど……

「やっぱりこれか?
まるで女神だな!
月の女神と言ったところか?」

この場所をわきまえずにイタイ発言連発するのは、どうなんだろう……
さっきら店員さんや他のカップルからの視線が突き刺さってて痛いんだけど。
ねぇ本当に気づいてないの!?

「あの、カラ松……
少し声抑えて……」
「この色もハニーには合うんじゃないか?
凄くcuteだぜ?」
「あ、うん、ありがとう……」

いや、ありがとうじゃないから私!!
注意しろよ!
そう思いつつも、私の顔はカラ松に可愛いと言われたことで真っ赤になっている。
いけない、末期だ。
イタイ発言だとしても、彼から可愛い等と誉められてしまえば私は文句を言えなくなる。
惚れた方が敗けってこういうときに使うんだろうな……

「カラ松、なんかノリノリだね。
普通男の人ってこういうの乗り気じゃないような気がするんだけど……」

職場の先輩や友人はドレスを選んでるときに彼が飽きちゃったと聞いたことがある。
だから、カラ松もすぐに飽きちゃうんだと思ってたんだけど……
彼は一時間もここにいるのに、まったく飽きる気配がない。

「ん?
折角のハニーのウェディングドレス姿だぞ?
ハニーには一番好きなのを着てほしいし、綺麗なハニーをみんなに自慢できるだろう?
今から楽しみで仕方がないんだ」

満面の笑顔で言うカラ松。
なんなのよ、それ。
それって、私かなり愛されてるんじゃない。
そんなに想ってくれる人、きっとカラ松以外にはいないんだろうな。






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