またあの桜の下で

□何かが始まる前兆
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「……...え?……剛さん?」



ドアの向こうには剛さんがいるはずなのに!!



「あの、剛さん!聞こえてますか!?開けてください!!」



ドンドンとドアを叩くがまるで反応がない。



「はぁ。困りましたね……」


アルが諦めて自分の席に向かおうとしたときだ。



パン!パン!


パパーン!

パン!


クラッカーの音が鳴り響いたかと思えば姿を現す特状課のメンバー。


そして、後ろのドアから剛がケーキを持って現れる。



「「「ハッピーバースデートゥーユー!ハッピーバースデーディア、アルー!!ハッピーバースデートゥユー!!!!」」」





皆が歌い終わると皆が拍手してくれた。




「……ぇ、これって……」



「誕生日だろ、今日」


進ノ介が言う。



「折角なんです、祝わないと!」


と霧子。




2人とも昨日、あんなに冷たく言ったのにこんなことしてくれるなんて……




「まぁ、やろうと言ったのは、剛君なんだけどねー?」


りんなさんがそう言うと剛が顔を赤らめながら


「それ、内緒だって!」


と言う。


「ほら、アルちゃんロウソクの火消しちゃってください!」



と本願寺課長。


「っ、はい!」


剛が、持っているケーキの火を消すと再び拍手が起き電気がつく。



周りを見渡せば色んな飾り付けが、施されている。



ホワイトボードには、《Happy Birthday!!》と書かれていた。



あ、だから、昨日私を帰らせたのか……


納得していると究ちゃんが言 話し始める。


「アルちゃんてば、全然驚かないからびっくりしちゃった」



「いや、すごくびっくりしましたよ?」



内心、すごく焦ってたからね!?



「まぁ、俺には、ちびちゃんが驚いてるよりも焦ってるように見えたけどな!」


といつからいたのか追田警部補。


鋭い…



「そんなこと言わないの〜」


とりんなさんが追田警部補をつつく。



そんなやりとりを見てたアルは、やらなくてはいけないことを思い出す。


霧子や進ノ介に謝ることだ。


「泊さん、霧子さん、昨日は、すいませんでした、きついことを言ってしまって……」


頭を下げるアルをみて進ノ介は、


「気にするなって!俺達も無理に聞き出そうとしたのが悪かったんだ。ごめんな?」


と言った。


「いえ、そんな……」


「無理に話さなくてもいいです。...話したくなったら話してください。」

霧子も優しくそう言ってくれた。



「すいません、ありがとうございます……」



我慢していた涙が込み上げ、つい、声が震えてしまった。





「うっそー!?進ノ介君、アルちゃん泣かしたの!?」



りんなさんが言った。










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