短編

□罪は、数えられない
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私は、ここ、鳴海探偵事務所で働いている名無しさん。



今日も風都の風は、気持ちよく吹いてくれている。



「おいー名無しさんー!コーヒー入れてくれー」



そう言ったのは、私の彼氏であり、ここの探偵、左翔太郎だ。

自分じゃハードボイルドっていっているけれど、全然だ




みんなには、 ハーフボイルドって言われている。私もそう思うよ探偵さん。





「翔太郎、ここにコーヒー置いとくね」




彼の机にコーヒーを入れたカップをコトンと置く。



翔太郎は、軽く返事をして本を読み始めた。



「翔太郎!名無しさんちゃん!聞いてくれ!!」



地下から上がってきた青年、フィリップだ。



彼は、地球の本棚というこの世界のもの全てを閲覧することができる能力を持っている。




「どうしたの?フィリップ。」


そう言うとがっと肩を掴まれた。


「名無しさんちゃん、僕とデートしてくれ!!」




「はっ!!?」



私が言ったのではなく翔太郎が言ったのだ。



「おいおい、待て待て、フィリップ。どうしてデートをしたいんだ?ん?」



「何をそんなに怒ってるんだい?翔太郎。」



とフィリップが首をかしげて言った。




「いや、普通におかしいだろ?こいつは、俺の彼女なんだよ!デートするなら亜樹子とでも行ってこい」



翔太郎が名無しさんの前に立って言った。



「それを言うなら亜樹ちゃんも照井竜の彼女だ。」


フィリップに正論を言われ言葉に詰まった翔太郎。



「いいよ、行ってくる。フィリップ、デートどこ行きたいの?」



翔太郎の後ろから顔を出して言った名無しさん。



「は?え、おま、なんで...!」


翔太郎が驚いた様子で言った。


「いいじゃん。最近、翔太郎、連れて行ってくれないんだしフィリップと行ってくるー」



翔太郎の後ろからフィリップの後ろに移る。




それを見て驚いたような顔をする翔太郎。



「じゃ、行こっかフィリップ!」



フィリップの袖を掴んで外に出て行った。





「どこに行こっか!フィリップ」


「ごめん、名無しさんちゃん。デートしたいっていうのは、嘘なんだ。」



突然言い出したフィリップ。



「...え?どういうこと?」




「最近、翔太郎が君とあんまりいないから彼が本当に名無しさんちゃんのこと好きなのかと思って一芝居うったんだ。」




申し訳なさそうにいうフィリップ。


思ってくれていることに胸が熱くなった。



「そっか、ありがとう、フィリップ。せっかくだし、ちょっとお茶していこ!」



「あぁ。」


近くのカフェに寄って数時間ほど経ってから事務所に戻った。












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