またあの桜の下で

□最速ロイミュードスピアの目的は
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アルとの出会いを思い出していた剛の目には涙が溢れる。







「っ、情けないなー俺...」




アルは、死んだ。





あのロイミュードのせいで



肉体を奪われたせいで




涙を拭く剛は、改めてロイミュードをぶっ潰すと固く心に決めたのだ。





なぁ、お前ならこんな俺になんて言ってくれるかな?



慰めてくれるのか?


それともあの時みたいにふざけんなーって言ってくるのかな……




「そうですね、言ってもいいですよ?剛さん」





「...やべーな。アルの幻聴まで聴こえてきたよ...」






「ふざけたこと抜かさないでくれます!?人を勝手に殺さないでください!」




その声にやっと反応する。




「......アル...?」





あたりを見渡すが、誰もいない。






「あ、下です。下。」



言われるがまま下を向く。




下を向くとアルのシフトカーのルナの姿。


「え...うそ……」





「嘘じゃないですよ」




やはり、ルナからアルの声が聞こえる。





「...良かった……生きてて...ほんとに、よかった...」





膝から崩れ落ちる剛。




「そんなに泣かないでくださいよ。ていうか、アルじゃなくて那月って言ってるじゃないですか」




那月がそう言うと




「お前だって、まだ敬語だしさん付けじゃん...!」




「そ、それは、まだ抜けてないだけです...!」




「てか、シフトカーなのになんで喋れてるんだよ。」




「あ、さっきまでクリム通して話してたんですけどね、慣れてきたのか話せるようになりました」




呑気にそんなことを言う那月。





ガチャ




入ってきたのは、進ノ介だった。





「進兄さん...?なんで...」





「不法侵入か剛?」





「そんな事言ってる場合じゃないでしょ。兄さん、部屋にあるからそれ取ってきて」






那月がそう言う。






「分かった」




進ノ介は、奥の部屋へと姿を消した。




「どうなってるんだよ...」




剛が呟くと那月が答える。





「私が助かるただひとつの方法を取りに来たんです。その役目を剛さんにしてもらいたくて」




「...俺に?」





「バディなんだろ?」




後ろから進ノ介が言った。





「これか?」





進ノ介が持っているのは、ブレスレットのようなもの。




「そうそう!」





那月が言う。


「剛さん、あのブレスレットには私の旅で培ったたくさんの正義と愛が詰まっています。それをスピアにぶつければスピアのコアと私の身体は、分離されます。分離された時に上手いこと私が戻れれば成功です。」






「……失敗したら...?」





聞きたくない。




だが、聞かねばならない。





「……死です。」












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