幻水U 長編 夢置き場
□光の姫君 第二章
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何もわからない……
けど。
優しさは…
伝わっているから。
〜光の姫君 7〜
「…と言う訳でだ、状況はあんまよくねぇらしい。だから収穫ねぇんならさっさと戻れだとさ。」
「そうか……」
紹介されたビクトールという男とフリックの話が、一段落ついたようだった。
フリックの隣に座り、わからないながらも話を聞いていたティアラは、一息つく。
「とりあえず俺は明朝に出発するぜ。……お前は?もう少し彼女と逢い引き…」
「「違う(いますっっ)!!」」
フリックと声が重なった。
フリックは驚いてティアラを見るが、彼女はフリックをちらりと見た後、すぐビクトールに向き直った。
そして―――
「貴方…ビクトールさんでしたっけ?……さっきから失礼ですよ?」
「…え??」
ティアラは立ち上がり、眼前の男を睨みつける。
「からかってばかりでフリックの話をまともに聞かないし、昼間から酒ばかり飲んでいるし…それが人と話す態度ですか??」
「い、いや…ぁ、それは…」
「それに逢い引きだなんて…見ず知らずの私の面倒をみてくれているフリックに対して失礼です!」
「…いや、ティアラ、そこまで言わな…」
「言うべきよ!…フリック優しいから……、でもちゃんと言わないと!」
「「………」」
ティアラの熱弁に、フリックとビクトールは言葉が出ず、唖然としていた。
やがて、のろのろと首を振ったビクトールは……
「あー……、逢い引きじゃあねぇ事はよぉーーくわかった。それと…」
「??」
「……」
チラリと相棒を見た男の言いたい事を、フリックだけがわかっていた…。