ブリーチ 長編 夢置き場
□捕らわれし君、想う 第一部
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一目見た時から。
運命は廻っていた。
あなたの笑顔、
永遠にあれ…
〜 捕らわれし君を、想う 〜
「あ゛ーっ、やっべぇな。…まじで遅刻だ。」
呟きながら男は急いでいた。
昨日の飲み会での酒が残る頭はまだ痛いが、
そんな事は言っていられない。
朝会に遅れてしまうわけにはいかないのだ。
彩りがはえる季節になってきた中庭を通り過ぎる。
その時、ふと、木々の間に人影を見つけて、走る速度を落とした。
ただ、なんとなく。
立ち止まった理由は、その言葉でしか表せない。
止まって見つめた先には、死装束を着た女がいた。
花を愛でるように触っている。
その姿は美しく。
やわらかく微笑んだ顔は、この世のものとは思えないほど綺麗で…
まさに見とれてしまっていた。
「……ぉっと、やべ。」
ポソリと呟き、再び走り出す。
この出会いが、
運命を変えるものとはしらず……。