幻水U 長編 夢置き場
□光の姫君 第四章
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あなたの澄んだ瞳の奥に
未知の力を感じた……
〜 光の姫君 14 〜
「あの人が…例の女の人ですか?」
シュンは、隣にいるフリックに尋ねた。
「あぁ。…呼んでくるから待っててくれ。」
そう言い残して、フリックは訓練場の中へと入っていく。
軍主のシュンは、噂に聞くティアラが気になっているらしく、フリックと一緒に訓練場に来ていた。
そして、彼女の姿はすぐに目にとまった…。
「初めまして、シュン様。ティアラ……と申します。」
「??」
丁寧なお辞儀とともに挨拶を受けたシュンは、名前の後の間に首を傾げる。
すると、顔を上げた女は緩く微笑みながら答えた。
「記憶を失っておりますので…、はっきり名乗っていいものか悩んでしまったんです。」
「あぁ、なるほど。…大変ですね。」
シュンは納得して相槌をうつ。
記憶がなければ、自分の名前さえ曖昧なものになってしまう。
不安や心配も絶えないだろう。
ぼんやりとそんな事を考えていたシュンは、ふと、こちらを見つめるティアラの視線に気づく。
「あの、えっ…と……」
少し照れながらシュンが申し出ると、ティアラは瞬きを数回した後、気づいて慌てだす。
「!!………あぁ、ごめんなさい!見とれてしまって……瞳が綺麗で…」
「僕の瞳がですか??」
シュンは、彼女の言葉の主語を補いながら、瞬きを繰り返す。
「…えぇ。すごく澄んでいて…綺麗だと思います。」
「………///」
微笑みながら褒めてくれたティアラの美しい顔が直視できず、シュンは俯いた。
「???」
軍主が俯いている理由がわからず、ティアラが首を傾げると、隣にいたビクトールが彼女の肩を叩く。
「まぁ軍主でも少年ってわけだ。勘弁してやれ。」
「…????」
ビクトールの言葉に、ティアラはさらにハテナマークを増やすだけとなった。