幻水U 長編 夢置き場

□光の姫君 第五章
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できるのならば。














私も役に立ちたい…


















〜 光の姫君 17 〜



















「私に行かせて下さい。」



「なっ……、本気か?」





ティアラの申し出に驚いたビクトールに賛同するように、ざわめきが広がる。











トゥリバーでの戦いの後、休む間もなくグリンヒルへと潜入する事になった同盟軍。


しかし、出発の二日前にメンバーのミリーが足を怪我をした為、代役が必要となったのだ。




行き詰まる話し合いの中、静かに手を挙げたのはティアラだった。










「……だめだ。連れていけない。」


ざわめきが続く中、はっきりとしたフリックの声が響く。



「剣の腕があっても、実戦と訓練では全く違う。甘い考えで…」


「甘い考えじゃないわっ!!…危険だって事もわかってる!」


「…それならっ!!」


「……役に立ちたいのっ!!皆が困ってて…私にできるのなら……」






ティアラの瞳が、まっすぐフリックを見ていた。

フリックも、目をそらす事なく答え、沈黙が続く。










「……フリック、ティアラの気持ちを汲んでやったらどうだ?」


「なっ…!!お前……」


ビクトールが沈黙を破り、相棒の肩を叩きながら続ける。



「お前の気持ちもわかる。…けど本人がここまで言ってるんだ。それに…俺もティアラが適役だと思うぜ??」


「………」



フリックが黙りこみ、再び静かになった。









「…シュン様が最終的な判断をなされては?」


今回の沈黙を破ったのは軍師のシュウで、話を振られた軍主は、しばらく考えてから答えた。





「僕もティアラさんが適役だと思います。…お願いできますか?」


「!!……喜んでお受けいたします!!」



軍主直々に頼まれたティアラは、膝を折り深くお辞儀をした。












「………」


フリックは、納得できない様子だったが、何も言わずにその場から去っていく。







「当分はもめる…か?」



その様子を、腐れ縁の男だけがわかっていた……。
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