幻水U 長編 夢置き場
□光の姫君 第七章
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真夜中に出会ったモノ。
その出会いが
吉と出るか凶と出るか…
〜 光の姫君 26 〜
「…おっ、と。もうこんな時間か。そろそろ準備しないと…」
「どこに行くの?」
フリックが外出の準備を始めたので、ティアラはその様子を見ながら尋ねた。
「シンの尾行だよ。…あまり時間取れなくて悪いな。」
フリックにやっと時間ができたので話をしていたら、いつのまにか夜も更けていた。
とりあえず、件の女子学生を探そうと結論してから随分と時間が経つ。
「そんな事ないわ。十分よ。……ありがとう。」
フリックにお礼を言った後、二人揃って部屋から出た。
しばらく廊下を歩き、先にフリックが玄関の扉を開ける。
ティアラも続こうとするが…
「…まて!……」
フリックに後ろ手で押し止められた。
「…探す手間が省けたな。」
ため息をつくフリックの腕の向こうに、白いターバンらしきものが見えた。
尾行対象のシンだ。
「ティアラ、お前はもう少してシンがいなくなっ…」
「一緒に行くわ。」
「えっ?」
ティアラの言葉にフリックは怪訝な顔を返す。
「大丈夫よ。無理はしないから……、ほら!!…向こうに行ったわ!」
背中を押して急かしてくる彼女。
言い合いが無駄なことはあきらかだろう。
「………頼むからそばを離れないでくれよ。」
再びため息をついて、あきらめたフリックの後ろを、ティアラは嬉々とついて行った。