思い出の欠片


□V、帰還
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ブレイク「鳥の囀り、差し込む陽光。いやぁ、お茶を飲むには最高のシチュエーションですネ♡」

ベアトリクス「…鴉の鳴き声と、このボロボロに廃れた礼拝堂の壁と壁の間から差し込む陽光が"最高"だなんて、悪趣味ね。」

確かに陽光はまだ上がったばかりで昼間見るものに比べれば全然美しい。けれど、差し込む場所が場所だ。
お茶はとても美味しいのだが、ザクスの言うシチュエーションがどうも良いとは言えない。
向かいの席でニコニコしながらお茶を楽しむザクスに私は呆れた。

シャロン「いい加減ティータイムは終わりにして下さい、ブレイク。不謹慎ですよ。」

其処へシャロンがカツカツと靴音を鳴らして歩み寄ってきた。

ブレイク「いーじゃないですかシャロンお嬢様。"道"を繋げるまでにはまだ時間があるでしょう?…君もこっちで飴でも食べないカイ?『若様』♡」

彼は離れて座っているギルバートもとい、レイヴンにそう誘った。
「ベアトリクスにもドーゾ」と彼は私の腕を自分の元へ引っ張ると、手のひらに可愛い包装のされた飴を握らせた。断る理由もないので貰っておくことにした。

レイヴン「………結構だ。」

レイヴンは緊張しているのか、ザクスの誘いに乗らず、いつもより目を鋭くさせて無愛想にそう答えた。

ブレイク「そんなに緊張しているとォ、出来る事も失敗しちゃいますヨォ?」

ザクスが棒キャンディを
ガリガリと音を立てて咥えながら喋る。
逆に私は、彼は落ち着きすぎだと思う。

ブレイク「((プッ…ただでさえ今回の任務はレインズワース家の独断。組織に対しても内密のことなんですからしっかりやって下さいネー」

そして彼は食べた飴の棒をプッと床に吐き出した。
その行為に私は顔を青くしただろう。

ベアトリクス「…ザクス。貴方汚いわ。」

私の言葉にザクスはブー(・ε・` )という顔をしたが、構う理由もないので無視を貫いた。

シャロン「大丈夫…失敗などしません!さぁ、そろそろ準備を始めましょうか、私達の手で、オズ=ベザリウス様をお救いする為に…」
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