思い出の欠片


□Z、アヴィスの意志
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長い長い夢を見ていた気がする。
ほのぼのとした陽光の下の木陰で、静かに本を読む。そんな平凡な夢。
其処には戦争も喧嘩も争い事なんて何も無くて、皆がちゃんと居る。

『起きてベアトリクス!こんな所で寝たら風邪を引くわよ!』

不意に、甲高い綺麗な声が聞こえた。目を開けると、私の大切な妹分がぶすくれている。

ベアトリクス『…私いつの間に…。あら、本に皺が入ってしまうわね。』

レイシー『もう!レヴィも兄様も探していたわよ?今日は皆でお茶会をするって言ったでしょ!』

ベアトリクス『嗚呼、そう言えばそんな事言ってたわね。』

起き上がり身嗜みを整え、本が皺にならない様に丁寧に横に置く。
ふとレイシーの頭の上に葉が乗っかっているのに気付き、取ってあげる。

レヴィ『おーいレイシー!ベアトリクスは見つかったか…って木陰で寝てたのかよ、汚れるぞー。』

オズワルド『見つかって良かった。早くお茶会を始めよう、折角レイシーが企画したんだから。』

ベアトリクス『えぇ、ゴメンなさい皆。素敵な茶会にしましょう。レイシーが頑張って練ってくれた企画だものね、楽しみだわ。』

私はレイシーに手を引かれ、お茶会の会場へと連れられた。
本当に素敵な日々だった。
禍罪の子だからと罵られる事も多々あったが、"平凡"は負けなかった。
なんとも平和で、穏やかな日常だった。







ー私がレヴィの手によってアヴィスに堕とされるまで、あと7日ー
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