思い出の欠片


□T、出会い
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振り返ってみると、白髪の男性が倒れていた。

ベアトリクス『アリス、誰か落ちてきたわ。』

私はまた紅茶を一口飲むと、
彼女にそう告げた。

チェシャ「……人間?」

チェシャが近寄って発した言葉を聞き取ることが出来たのか、その男性は目を開けると「うっ…」と声を上げた。

そしてチェシャに気付くと、
警戒心からか、
彼に向かって剣を勢い良く振った。
だがチェシャは軽々と避ける。

チェシャ「人間だっ!」

チェシャの言葉を合図にする様に、
辺りにある人形達がケラケラと不気味に笑い出した。

人形『嫉妬シテル、嫉妬シテル、チェシャガ人間ニ嫉妬シテルヨ』

アリス「…皆、静かにして頂戴。その人が驚いているわ。」

耳に響くその不気味な笑い声を
"アリス"が静かに制した。

アリス「…ねぇ、貴方のお名前は?…私は、アリスって言うのよ」

ケビン「…アリ…ス…」

男性は上言の様にそう繰り返すと、私の方をチラリと見てきた。

すると、彼の背後から恐らく契約しているのであろうチェイン、白い騎士(アルブス)が出てきた。

アルブス『嗚呼…!お会いしたかった、アヴィスの意志よ』

ケビン「アヴィスの意志だと…!?この少女が…?」

アリス「…まぁ、アルブス。貴方が彼を此処まで連れてきてくれたのね。ありがとう。」

アリスがそう言うと、アルブスは剣を彼女に差し出した。
彼女は、其処から彼の情報を聞き出す。

アリス「…そう、彼の名前ケビンって言うの…。大きなお屋敷に仕えている、主君思いの騎士で…」

彼女は其処まで言うと、
ニッコリと笑って彼を見た。

アリス「ふふっ、でも皆死んでしまったのね。」

ケビン「っ!!」

その言葉に、彼は血相を変えた。

アリス「貴方が居ない間に殺された。貴方は守れなかった。大切な人達だったのに、救えなかった…!」

ケビン「黙れぇえっっ!!」

そう叫びながら、彼はアリスを床に押し倒し、剣を向けた。

チェシャ「アリスっ!」

ベアトリクス『………』
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