思い出の欠片


□T、出会い
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アリス「…だから貴方は、此処へ来たんでしょう?その人達の命を救う為に。アヴィスに来る人はみんなそう。何かを取り戻そうと必死になってる…。でもみんな途中で可笑しくなっちゃうの。チェインとずっと一緒に居ると駄目みたい…」

アリスは突き付けられた剣に怯える事もせず、先端をギュッと握りしめた。

その握った手から血が滲む。

アリス「でも貴方は違ったわ。最後まで自分をなくさなかった。何人も何人も殺して…バッカみたい」

すると、突然アルブスがケビンをアリスの上から退かす様に横から襲った。

アルブス『アヴィスの意志を傷付ける者は許さないっ…!』

忠誠心が高いのは別に悪くは無い。
けれど今のは逆効果。
アリスの機嫌を損ねてしまった。

ベアトリクス『……ハァ…』

私はまた赤い世界が広がると思い、
溜め息を一つ零した。

アリス「…如何して…。私はあの人とお話してたのに…。如何して邪魔するのっ!!」

アリスがそう叫んだ瞬間、
アルブスは散り散りになり、
辺りには血の雨が振った。
瞬間、人形達が一斉に笑い出す。

アリス『…綺麗。チェシャ、ベアトリクス、踊りましょ。』

アリスのその言葉に私とチェシャはニッコリと頷き、人形達も一緒に踊り出した。

ケビン「……くっ…!」

踊っていると、
彼が苦しむ声が聞こえた。
なので私は中断して彼の元へ行った。

ベアトリクス『…苦しい?此処はアヴィスの深淵、力が一番強い所だから…。身体に沢山染み込んで、直ぐに皆と同じチェインになっちゃうよ…』

彼は私の両目を見て驚いたようだが、それよりも言葉の方が勝ったようだ。

ケビン「!?馬鹿なっ…、人がチェインになるだと?」

ベアトリクス『知らなかったの?"アヴィスの力は、人をチェインに変える…。命無き者に意志を与える、そしてあらゆる時の流れを支配する"…』

私がそう教えると、
彼はそんな言葉が耳に入ってない様で、私をずっと見つめている。

ケビン「…君は一体…。あの少女がアヴィスの意志なら…君は…?」

そう問われたが、
私は答えなかった。
聞こえていない振りをした。

ベアトリクス『…グレンはそう言っていたわ。』
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