思い出の欠片


□IV、初仕事
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翌日、私達は当然、オズ様達だけで行かせるわけにはいかないので、レイヴンを同行させた。

ベアトリクス「二人をお願いね、レイヴン。」

私は彼が馬車に乗る前に
そう告げると彼は逞しくコクっと頷いた。

馬車が出発し、シャロンが
屋敷の方へと戻ると、
私は隣に居るザクスをジロッと見た。

ベアトリクス「…貴方も酷な事をするわね…」

ブレイク「なんの事ですかネー?」

彼は口を尖らせながら
屋敷へ戻ろうと身体を方向転換する。

ベアトリクス「とぼけないで頂戴。あの任務、違法契約者のでしょう。しかももうすぐ針が一周する物…。そんな任務の何処が"お子様向け"なのかしら。」

私も腕組みをしながら
彼の後を付いていく。

彼は両手を袖で隠し、
広げながらルンルンと歩いていく。

ブレイク「何事も経験だよ、ベアトリクス。現実は、なるべく早く目にしておいた方がいい。」

オズ様に違法契約者の末路を見せてしまうと思うと、私は身が引けた。自然と顔も歪むと言うものだ。

ブレイク「これは私の優しさですヨ♡」

彼は口に人差し指を当てて、
ニッと笑いながらそう言った。

そんな彼の後ろ姿を見ながら、
私は無意識の内に自身の左胸を握り締めていた。
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