思い出の欠片


□\、記憶
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男「君は違うのかい?アリスと言う姫君を助け出す彼女の騎士になろうとしているのではないのかい?」

男は俺の手を握り締めたまま、
顔だけ離して問いかけてくる。
その質問に、俺は笑って答えた。

オズ「俺は…違うよ。」

男「では君がアリスを助けたいと思うのは何故?君にとって、アリスと言う存在は何なんだい?」

俺にとってアリスは…。
正直考えた事もなかった。
だけど、改めて考えてみると、
俺にとってアリスは…

オズ「アリスは俺にとって、お日様みたいな存在…かな。泣きたい時に泣いて、怒りたいときに怒って、いつも自分の気持ちに真っ直ぐで。それが…俺にはとても眩しく見えて時にはその光が辛く感じる事もあるけど。…だけど、あたたかいんだ。」

《薄気味悪いガキだな。》

《オズは、此処に居るだろうが!》

話している間に、
ブレイクとアリスの言葉が頭をよぎる。
だけど、不思議と俺は、
今こう話している自分に、
悪い気分はしなかった。

オズ「俺にはなんの力もない。だからきっとアリスの騎士にはなれない。でも見届けたいから。その光が、最後に何を照らし出すのかを、彼女の隣で!だから、俺がアリスを迎えに行かなくちゃ…!」

自然と笑顔になる。
初めて、俺自身の気持ちを言った気がする。
目の前に居る男も、
俺のその返事を聞いて、
フワリと静かに笑う。

男「…アリスを見つけたよ。このまま君を其処へ送ろう。オズ、アリスの事をよろしく頼むよ。彼女は昔から淋しがり屋だからね…。」

彼が言うと同時に
自分自身と周りが光り始めた。
横からギルが反対の言葉を述べて来るが、
俺は今更聞くつもりはなかった。

オズ「知ってる。だってうさぎさんは、寂しいと死んじゃうもんね!」

そう言って、
俺はまた庭から違う場所へと移動した。
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