短編小説

□兎と狼
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※橋本目線




「‥‥」




「‥‥」





私たちは今、息を殺して廊下の壁に張り付いていた。





‥何故こんな状態になっているのかというと、まぁ一言で言って、玲香と若月のせい。





朝、迎えに来てくれた車に乗ってスタジオに着いた私。




入り口辺りでメンバーの星野みなみと会って、二人で楽屋へ向かっていたところ、‥事件?に遭遇したわけで。





なんと、若月と玲香が人気がない階段の隅辺りでお熱いイチャイチャをしていたのだ。




しかも軽いやつではなく、声しか聞こえないけど、まぁ限りなく重たいというか、子供はあまり見ないほうが良いというか。




早く立ち去ろうとは思っても、今不必要に動くとバレるだろうということで、なかなかタイミングが掴めず今に至る。





ツンツン、とみなみが私の服の裾を引っ張った。




みなみの方を向くと、顔を真っ赤にして狼狽えるみなみが。












‥‥やばい、どうしよう。可愛すぎる。




みなみが目でどうしようと訴えてきた。





私にもどうしようもできないのが現状だけど、ぎゅっと手を握って安心させる。




みなみもぎゅっと握り返してきてくれた。




‥‥そんな可愛いことされるとヤバいんだけどな、私がいろいろ。





幸いなことにその後すぐに玲香と若月はその場を立ち去って、‥私たちだけが取り残された。




しばらくお互い黙っている。




先に口を開いたのは、みなみだった。




「びっくりした‥」




顔に手を当てて必死に火照りを抑えようとしているみなみ。




「みなみには少し刺激が強かった?」




「‥そんなことないもん」




ここで意地を張るのもみなみらしい。





私はちょっと意地悪してみたくなった。





「ふーん‥じゃあ、あーゆーことしたことあるの?」




「‥‥」




言葉に詰まるみなみ。




「そ、そんなこと‥ななみんだってないでしょ?」




そう来たか。




だけど残念。





「あるよ」



「っ!?」




みなみが驚きを隠せない様子でこっちを振り向いた。




「‥本当?」




「うん。まいやんと」




「っ!!??」




何故かジリジリと私から遠ざかるみなみ。




「なんで逃げるの?」




その手をパッと掴む。





「ななみん‥‥肉食系女子‥?」




なんじゃそりゃ笑




テンパって何を言っているのか分からないみなみに、私は妖しく笑って言った。





「ほんとに肉食系か‥試してみる?」





「‥っ」





真っ赤になって、だけど私から目を逸らそうとしないみなみ。




それは肯定と見て良いのかな?








まぁ‥その後のことは想像にお任せ。笑





fin

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