Spring rain

□00.はじまりの物語
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「いつも姉上ばかり‥‥
私はいつになればお城へ行けるのでしょうか‥‥厳しい訓練も耐えているのに。何故父上は‥‥
私も殿のお役に立ちとうございます。」





「ごめんね‥‥あのね」





涙ぐむ妹にどんな言葉をかけてやれば
いいのかと困っていると
遠くから自分の名を呼ぶ
父の声が聞こえてくる。





「‥‥困らせてごめんなさい。
先程の言葉は戯言に過ぎません。

姉上、父上の手伝い頑張ってくださいね!」






そう言って微笑み
名無しさんの背を押す
同じ顔の彼女が
名無しさんの心にとても重くのしかかる。



“私も殿のお役に立ちとうございます‥‥。”



先程のあれは決して戯言ではない事は
自分がよくわかっていた。



だから名無しさんは立ち止まり
振り返った。

同情だったのかもしれない‥‥
口からでたその言葉に
目の前の彼女が少しでも
笑ってくれたらいい、と思った。










「今日だけ名無しさんを交換しよっか!」

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