Spring rain
□01.旅人の行方
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「あんた旅の者かい?」
「えぇまぁ。」
団子屋で茶を飲む旅人に声をかけた
茶屋の主人は旅人に行先を訪ね
それに旅人が答えると
凄い勢いで旅人に食いついてきた。
「あんたそっちはやめときな。
そこの近くに幽霊城があってな
夜な夜な動く人影を見たって言う話しだ」
「幽霊城ですか。」
「しかもその幽霊城が立地がええとかで
他所の国が幽霊城を手にしようとしてるとかでな‥‥
とにかく悪い事は言わねぇ
遠くなっても反対の道から行きな。」
話に熱が入り熱く語る主人を他所に
旅人は勘定を終え立ち上がる
「ごっそさん、美味しかったよ。」
「お、おい!だからそっちは‥‥」
亭主の声に旅人は振り返り
笑顔で言った
「もし、死んだ人間にまた逢えるなら
俺は逢いたいです。」
旅人の言葉に亭主は
口をぽかんと開けてその後姿を
見ることしか出来なかった。
“姉上”
「もしまた逢えるなら‥‥ね」