茜色の空に願ふ
□ここはどこ?
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長い夢を見ていた。
荒れ狂う吹雪。刀と刀が交わる音。血しぶきとともに跳ね上がる首。
「……っ」
そこで、一気に目が覚めた。
古びた木目の天井が目に入った。続いて、少し破れかけた襖が見えた。
(よかった……夢だった)
のろのろと半身を起こすと、室内にいた二人の男が反応した。
一人は刀を小脇に抱えて、壁に背中を預けている。髪の毛は明るい茶色で、いたずらっぽい笑みを浮かべている。
もう一人は私の枕元で、膝を揃えて座っていた。
片目を覆う濃い紫の髪の毛。黒ずくめの着物がまわりの空気すら落ち着かせる。
「気分はどうだ?」
冷静そのものの声音で、黒ずくめの男は尋ねた。
私は黙っていた。どちらも、見知らぬ相手だったから。
「なぜ、返事をしない? どこか、痛むのか?」
「……どなたですか? あなたは」
「何だと? いま、何といった?」
「あなたたちは誰ですか……ここはどこですか?」
茶色の髪の男が立ち上がり、慌てて部屋を飛び出していった。
「誰か来て〜っ。すみれちゃんがおかしくなったよ〜!」