思いつくままに

□ショート集
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『20歳によせて』


あ…。
それを読んでーーー。
思わず胸が熱くなる。




一番年下のメンバー。
一番体格が良くて、でもめっちゃ弟で。甘えたがりだからビッグベイビーと言われてるけど、実は頭の回転が速く、本当によくメンバーを見ている。
そして。
人として優しい。
情に篤い。


そんな子がやっと20歳になった。
デビュー当時からたったひとりの10代だったから、メンバーの中でも、その20歳の誕生日をめっちゃ楽しみにしていた。

誕生日の午前0時を越えた途端、メンバーのグループメールで飛び交うお祝いのメッセージ。
明日は朝早くから仕事の入っている者もいるのに、皆で示し合わせたかのようにタイムラインが盛り上がる。
サプライズで初めての飲み会をとわちゃわちゃ話し合っているが、メンバーのグループメールなので当然ながらサプライズされる本人もそこにいる。
その本人は?といえばーーー。
サプライズを仕掛ける側の人間と一緒になって「あいつ喜ぶと思うわ」なんて言ってボケをかましてる。

そんな誕生日当日の午前0時。
ーーーだった。


数日後。
事務所の作ってるファン向けのサイトで、メンバーが毎週水曜日にブログを更新する。
今回俺は彼のその誕生日について書いた。

そして更新日。
きっと皆もそうなんだろうが、自分の文章のチェックもあるし、皆が何を書いているかも興味があるから、覗いてみる。



あ……。

そこで、目にしたのは……。
20歳になった彼の言葉。

一番年下の彼が、その視線で。
普段はメンバー同士では言わないようなことを語っている。
一人一人へのその思い。


Jrの頃からずっとセンターを張っていた者へは、その裏でのセンターへのプレッシャーと努力を。

めっちゃ関西人トークで元気で明るいのに実は繊細なメンバーには、失敗をしっかり次に活かしていることを。

俺に関してはーーー。せやな。同じグループになる前は、9つも年が離れてるし呼び捨てとか普通に考えられなかったな。ギャップのあるキレ芸は結構好きですと。そうなんか?ひょっとしてこの前のラジオ…聞いてたんか?

圧倒的なスキルを持っているメンバーには「俺は努力しても報われん人間なんや」という言葉から、そのスキルは努力しているからこそ成立していると。

Jrの頃からプライベートでも仲の良いメンバーには、やっと念願の二人でできる新曲ができたことを嬉しそうに語っている。

Jrの頃グループの他のメンバーが退所して、たった一人で活動していたメンバーには、そのきっとしんどかったに違いない頃のことを言葉に。

そんなメンバーに支えられて自分は自分でいられると、感謝の言葉を綴る。



「めっちゃ…大人やん」
年上の俺らがいろいろ悩んで壁にぶち当たっているのに。
一番年下の彼は、それを黙って眺めて、理解し、そしてーーー。
ちゃんと真っ直ぐな言葉で俺達にボールを投げてくる。
ヒネてない。媚びない。ストレートな物言い。
でも本当に、優しい。他者への労りや優しさや感謝。
「ほんま…めっちゃええ子やん」
きっと彼をそんな風に優しくゆったりと育てた家庭や家族があってこその、今の彼なんだろう。



そんな彼の20歳のブログ。
「ねぼすけなんは玉に瑕やけどな」
ちょっと思い出しておかしくなる。


せやねん。
めっちゃ朝が苦手なまだ10代だった頃。
余りにも遅刻が続き、さすがにこれはヤバイと彼に注意をすることになった。
普段から仲の良いメンバーが注意すれば聞きやすいかと思い、注意をして貰う。
と。
普段は仲が良い筈なのに。思いもかけない人間からの注意に余程びっくりしたのだろう。めっちゃ凹んでしまった。
その次からは、
「俺注意するの嫌や。あいつめっちゃ凹むもん」
と、注意を嫌がる件(くだん)メンバー。
大好きなメンバーからの注意だからこそ、子供のようにしょげていた。普段の懐き具合との余りの落差に笑ってしまった。

そんな子供のような彼。
なのに、サイトで綴られた長文のメンバーへの言葉には…賢そうな彼の視線と、人に対しての愛が目一杯籠められていた。



「うわ…なんやのん。これ…」
もう。
これはただただ。
尊敬するしかない。
年齢は関係ない。
同じグループの仲間として。

尊敬する。


そして。
こんな風に優しい視線でメンバーを見てくれている仲間がいることに感謝する。


きっとこれからもいろいろあるんだろうが。
彼なら大丈夫。
そう思える、伸び代の大きさ。




「20歳おめでとうな」
そっと呟く。
ここには居ない彼に。
ーーーそして。
「ありがとうな」
こんなに素敵な感謝の言葉を。



さぁ。
この次に逢う時はーーーどんな表情を見せるだろう。
20歳の彼。

俺ならこんな文章をアップしたら、次にメンバーに逢う時はきっと気恥ずかしいだろう。
でもきっと。彼は……。
「しれっと来んねやろうな〜」
何もなかったかのような顔をして。

きっと、そんな彼だからこそ。
こんな言葉を、俺達にかけられたんだろう。


「楽しみやんな」
次の現場が。
きっと皆そんな思いで、この彼の文章を読んでいるに違いない。


人生は素晴らしい。
ふっとそんな言葉が浮かぶ。

こんな思いをーーー俺達の歌を聴く人にも届けたい。
聴いた人が自然と笑顔になりますように。


な?
その為に、俺らおるんやから。

今、ここに。



人生は素晴らしい。
そう歌おう。
そう伝えよう。

人々の胸に。
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