鬼娘


□鬼と日常
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「あ、シグレちゃんおはよう
隣座ってもいい?」

「おはよう山崎殿」

入隊してから1週間が経ち、食堂で朝食を取っていたシグレに声をかけたのは、監察の山崎だった

”えぇぇっ!!?
副長!なんで屯所に女の子がいるんですか!!”

3日前、張り込みから帰ってきた山崎はシグレを見るなりそう叫んだ

叫んだ瞬間、土方に殴られ、その後、山崎もシグレが女であることを知る1人となった

山崎も真選組の1人であり、決して弱いわけではないのだが、なぜか人間の匂いが極端に薄いらしく、シグレとはすぐに仲良くなることが出来た


「匂いが薄いのが地味だからって理由なら、今まで地味地味言われてきたのも悪くないかもね

シグレちゃんとも仲良くなれグハッ!!」

「シグレ、隣いいですかィ
ん?なんでィ変な顔して……あ、ザキいたんですかィ」

「いたんですかじゃないですよ沖田隊長!!
俺、シグレちゃんの隣に座ってたじゃないですか!」

「見えなかったんでィ地味で」

山崎は泣く泣く沖田に席を譲り、シグレの隣に座った沖田を見た

沖田はかなりシグレに懐いているように見える
今は別の部屋で寝ているらしいが、数日前まで同じ布団で寝ていたと聞いたものだから驚きだ

「なんでィ人の顔ジロジロ見て
気持ち悪いですぜザキ」

「あ、沖田、ご飯粒が付いてるからじゃないか?ほらここんとこ」

ご飯粒を見ていた訳じゃないのだが……と思いつつ、シグレが次にとった行動に驚く

シグレは沖田の口元に付いたご飯粒を取り、そのまま自分の口へ放り込んだ

(わぁぁぁあ!!?
やばいってシグレちゃん!
プライドの高い沖田隊長にそんなことしたら!!)

「あぁ、すいやせん」

(あれ?)

素直に礼を言う沖田になんとも不思議な感じがする
初めてこの2人を見たときはシグレが一方的に沖田に懐いているように見えたが、沖田がこんなことを許す相手はミツバや近藤以外に見たことがなかった

「ご馳走様
今日は沖田と僕で見廻りだったな?」

「そうですねィ」

「じゃあ今日は団子の日だな!」

2人とも朝食を食べ終わり、そんな会話をしながら食堂を出て行った


(サボりの共犯だから仲がいいのかな)


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