鬼娘


□鬼と喧嘩
1ページ/4ページ


昨日から総悟の様子がおかしい

ついこないだまでシグレの事をそれなりに可愛がっているようで、一緒にいる所をよく見かけたが、最近ではシグレが総悟を探している姿をよく見る

「あ、副長殿副長殿!
沖田を見なかったか?昨日から稽古の時間にも朝餉の時間にも姿が見えないのだ
今日の見廻りも山崎殿と交代したようだし……」

「あいつなら資料室にでもいるんじゃないか?最近妙に熱心に前の事件をあらってるみたいでな
普段からあれだけ真面目なら苦労しねぇってのに」

ミツバのような姉や、近藤さんや一応俺みたいな兄貴分がいる総悟としては、まるで妹のように自分の後ろを付いてくるシグレは相当可愛かったのではないだろうか

「かたじけない副長殿!」

いやどちらかといえば仔犬……か














万事屋を訪れた日から、沖田は攘夷党豊臣の事を調べるため資料室に通っていた

誰と競争している訳でもないのに、分厚い調査書のファイルを次々とめくっていく

(そういやなんで豊臣の事なんか調べてるんでィ?)

沖田の手がふっと止まった時
銀時の言葉が蘇る

”俺、シグレちゃんのこと結構好きだぜ?”

またイライラしてしまう
まるで土方に近藤さんや姉上を取られた時のような……

そうして沖田はまたファイルをめくり始めた







「資料室……資料室……ここか」

資料室を見つけたシグレが僅かに開いている資料室の扉の隙間から中を見る

中にはいつもの気だるげな表情で沖田が資料のページをめくっている

沖田の手が一瞬止まり、暫くの沈黙の後一瞬顔を赤く染め、また資料をパラパラとめくりだした

「本当に調べてくれているのか」

わざわざ邪魔する事もないとシグレは扉を静かに閉め、山崎と見廻りへ向かった



次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ