貴方の声がする方へ

□求める理由
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「うそ……だろ」

「いや、ほぼ間違いない
ハクみたいな瞳をした奴がそう何人もいるとは思えねぇ
ここにきた時期、身のこなしや、身体の傷………消された記憶も
それなら全部納得できちまうんだよ」


朝方、近藤さんに俺、総悟にザキ、そして各部隊の隊長格の集まった広間は俺の言葉にシンと静まり返った

ハクは俺の部屋で書類の整理をしている

「まさかハクちゃんが前将軍の護衛だったなんて………」


今朝、俺とハクが同じ部屋で寝ていた事を散々いじり倒していた総悟ですら普段のように居眠りすることなく驚いた表情をしている


ここにいる人間は、あの幕臣に誘われた食事会での一部始終を見ている


ありとあらゆる毒を飲んでも平然としていた姿を

身を呈して近藤さんを銃弾から守る姿を

弾丸を腹に受けながらも、敵の武器を奪って倒れるまで戦い続けたあいつの姿を









ここにいる全員が、只者ではないと思っていた

しかし、まさかこの国の頂点に立っていた人間の護衛だとは誰も思っていなかったのだ

「ハクちゃんには……?」

「言うわけないだろ
それに、あいつの記憶を好き勝手にした相手だ
あいつには言わないでいるつもりだ」

「あの、副長」

「んだザキ」

「そうだとしたら、どうしてハクちゃんはうちにきたんでしょうか?
見廻組じゃいけない理由でもあったんでしょうか?
見廻組の副長さんが、ハクちゃんのことを姉だって言うなら、うちに来る事になったのは変じゃないですか?」

「簡単に聞きに行ける相手なら良かったんだがな」

「まぁこの前みたいに突然やってきたりしない限りは不可能でしょうねィ」

広間に再度張り詰めた空気が漂う

と、隣に座っていた近藤さんがパッと顔を上げる


「いいかみんな!
今、俺やみんながここで生きていられるのはハクちゃんのおかげだ

あの時、もしハクちゃんが毒のことを教えてくれなければ、ここに集まった人間は誰一人生き残っていなかっただろう

ハクちゃんの過去がどうであれ、俺たちが助けられたことに変わりはない

もうハクちゃんは真選組の一員だ
そうだろう!」

近藤さんの真っ直ぐな言葉に、隊士たちは大きく頷いた






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