無神さんちの末っ子ちゃん

□家族が増えます
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「えっ、カールハインツ様が下界の屋敷に?」

「マジかよ、ルキ」

無神家の長男である無神ルキの言葉に、次男の無神コウ、三男の無神ユーマが驚く

「何か、用が、あるのかな」

四男の無神アズサは2人よりも少し遅れて尋ねた

「今朝、やってきた使い魔が手紙を持ってきた
詳しいことは来てから伝えると書かれていた」

落ち着いた様子で話すルキに、三人は口々に話し始めた

「カールハインツ様がわざわざこっちにくるなんて珍しいよね
よっぽど大事なことなのかな」

「まぁ俺たちはカールハインツ様に返しきれねぇ恩があっからな
なんにしても応えてみせるぜ!」

「うん、俺も、カールハインツ様の為なら、頑張る」











その日の夕方、無神家の屋敷の戸を叩く音がした

「やぁ久しぶりだね。ルキ、コウ、ユーマ、アズサ」

カールハインツはふわりと微笑み、一人一人の名前を呼んだ

「カールハインツ様、ようこそいらっしゃいました。どうぞお上がりください」

「いや、ここでいい
この後も用事が詰まっているのでな」

と、そこでカールハインツは自らの足元に注目が集まっていることに気づく

正確には、彼の足にしがみついている人物に

「あの、カールハインツ様、その子供は……」

「ハハ、実は今日来たのはこの子の事でね
お前たちと同じような境遇なのだ。だから、お前達の新しい家族に迎え入れて欲しいのだ」

「新しい兄弟……ですか」

少し怪訝そうに答えるルキの反応など気にもせず、カールハインツが足に抱きついている子供に声をかける

「ユキ、彼らが今日から君の家族になる者たちだ
フードを脱いで、顔を見せてあげなさい」

カールハインツの言葉に、ユキと呼ばれた子供は従わず、知らない人を警戒するように足にしがみつく力を強くする

「ほら、前を向いて」

カールハインツに促され、子供が無神兄弟の方を向き、ゆっくりとフードを外す

ボサボサで汚れた髪に、汚れた身体、その身なりは彼らも身に覚えのあるものだった

「カールハインツ様、私達にこんな幼い子供を……」

と、ルキが難題である事を言おうとした時には、既にその姿は無く、兄弟の目の前には薄汚れた子供が立っているだけだった




「兄弟って……カールハインツ様も無茶言うよな」

「でも、オレたちと似たような境遇だって言ってたよね」

「弟ができるの、嬉しい」

ルキはハァとため息をつく

「任されてしまったものは仕方がない
他の誰でもないカールハインツ様の命令なら尚更な

コウ、お前はこいつを風呂に入れてやれ
ユーマ、お前はこいつの服を
アズサはあとでこいつの髪を整えてやれ」

「ハーイ
ほらいこ、そんなに汚れてちゃ気持ち悪いデショ?
オレがばっちりキレイにしてあげるからさ」

コウが抱き上げようと脇に手を入れると、子供はパッと飛び退いた

「警戒するのも分かるけどさ、別に痛い事とかしないからさほら、来なよ」

いきなりキレてしまうのではないかとヒヤヒヤしていたルキだったが、落ち着いた様子で子供に声をかけるコウにひとまず安心した




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