無神さんちの末っ子ちゃん

□はじめてのおやすみ
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「ふぁ………んん……」


「どうした、眠くなったのか?」

小さな口を目一杯開けてあくびをしながら目をこするユキにルキが声をかけると、ユキはゆっくりと頷いた

「だが生憎、今はお前の部屋がない
客室はあるが、ロクに掃除も出来ていないからな」

「誰かの、部屋に、行くってこと?」

アズサが尋ねると、ルキは頷いた

「そうだな
オレはこいつの幼稚園の手続きやその他諸々やることがあるからな
お前達3人の誰かに任せたい」

「ユキに決めて貰おうよ!
誰の部屋で寝たいのか!」

「いい、ね、それ」

「会ってまだ数時間しか経ってねぇのに選べるかっての
なぁ?


…………………お?」


ユキは小さな手でユーマのカーディガンの裾を掴んでいた

「ウソ、ユーマくんなの!?」

「いいな、ユーマ」

「なんでオレなのか全然わかんねェんだけど」

「こいつが選んだんだ
今日は任せたぞユーマ」

ルキはそういうと、さっさと部屋を出て行ってしまった

「ユーマくん、潰しちゃわないように気をつけてよ?寝相悪いんだからサ
じゃあねユキ、また明日〜」

「おやすみ、ユーマ、ユキ」

手を振って部屋を出て行ったコウとアズサの2人に、ユキはユーマのカーディガンを掴んでいるのと反対の手で小さく手を振り返した

ユキと部屋に残されたユーマはユキの方へ目をやる

「オレと寝んのか?」

ユキはゆっくりと首を縦に振った

「ハァー……ったく、
じゃあいく、ぞっ!!」

声と同時に、ユーマはユキをヒョイっと抱き上げ、肩に座らせた

「わ、」

「高いの苦手か?」

「にがて?」

「あー、怖いかって事だよ」

「ううん」

「じゃあそのままオレの頭つかまってろ

あ、髪はあんまひっぱんなよ、イテーから」

そう言って、ユーマは大股で部屋を出ようとした、が、

ゴチンッ!!

「あ、わり」

190もある大男の肩に乗せられたユキの頭は、ちょうどドアの上の壁にぶつかってしまった

「う、う……」

「あぁ……」

「うぁぁぁぁあん!!」

「わ、悪かった!悪かったって!な?
頼むから泣くな!ルキになんて言われるか分かったもんじゃねぇ!!!

ほら、傷見せてみ?」

ユーマはユキを肩から下ろして抱っこすると、ユキの額をみる

「あーちょっと擦りむいてんな
……血滲んでやがる」

ユーマはそう言うと、ユキのおでこの傷をぺろりと舐めた

「?」

舌の感触に驚いたのか、ユキは目をパチクリとさせて泣き止んでいた

「お前の血、すげぇ美味いな」

「グスッ……うまい?」

「そういや、ヴァンパイアの血って飲んだこと無かったな……みんなこんな味すんのか?」

「?」

首を傾げて自分を見るユキに、ユーマはニッと笑う

「ヴァンパイアの身体なら、その程度の傷はすぐに塞がっちまうから大丈夫だ
んじゃ、今度こそ行くか」






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