どうか君は私を

□来たれ、特別枠転校生
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「いやーUSJにヴィランが来た時は焦ったよなぁーー」

「あの時オールマイトが来てなきゃ俺たちみんな殺されてたよな……」

「わたしも相澤先生がいなかったら敵の個性でボロボロにされてたわ」


クラスの奴らがこぞって先日のUSJ事件のことを話している
が、俺はその話にどうも納得がいかない

「あの時はまじ死ぬかと思ったよなぁー
なぁ爆豪!」

雄英に入学してからなにかと一緒にいることの多い切島がそう尋ねてくる

「…………」

死ぬかと思ったよな……か

こいつらはそれぞれ敵と戦って、なんとかそこでは敵を倒し、その後現れた脳無はオールマイトが倒した……らしい



じゃあ俺が見たのは何だったんだ?

俺も今教室ではしゃいでるこいつらも、オールマイトが敵を倒す頃には全員が虫の息だった

自分の手を何度か握り、開くのを繰り返す

許容範囲外の爆破を繰り返し、俺の手は腕までズタボロだった……はずだ

なのに次に目が覚めた時には全員擦り傷一つ無くなってやがった

あれは俺だけが、ヴィランの個性に当てられて見た幻覚なのか……?



「全員席につけ」


1年A組の担任である相澤が教室に入ってくるなり、さっきまで騒がしかった教室はシンと静まりかえった



「今日は雄英としては異例だが、転校生がいる」

「「「「転校生!?」」」」

「入れ」

「失礼します」

そう言って入ってきたのは1人の女生徒だった

細身で耳が出るくらい短いボーイッシュな黒髪、少し長めの前髪の間から月の光を映したような明るい色の瞳が光る

「朧月ゆずです
今日から雄英に転校してきました
よろしくお願いします」

そう言って愛想よくニコッと笑う彼女の笑顔に、爆豪はハッとして立ち上がる
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