無神さんちの末っ子ちゃん

□家族が増えます
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「ルキくん、とりあえずオレのTシャツ着せといたんだけどいいよね?」

すっかりキレイになったユキの手を引くコウに、ルキは目を丸くした

「あ、あぁ」

「コウ、すごく、お兄ちゃんみたい」

隣にいたアズサも少し驚いたような顔をしている

「てっきり、面倒くさがると思ってたんだがな
それかすぐにキレると」

「流石にこんなちびっ子にキレたりしないよ
それにまぁ、カールハインツ様がオレたちを信用して任せてくださった訳だし」

「にしてもユーマは遅いな
出て行ってから1時間以上経っているというのに」

時計に目を向け、眉間にしわを寄せるルキに、コウはクスリと笑う

「そりゃそうでしょ、ユーマくんが女の子の子供服なんて、簡単に買えるわけないじゃん」

「………女の子……だと?」

「じゃあ、オレたちに、妹が、出来るんだ、ね」

自分より下の兄妹が出来るのが嬉しいのか、明るく答えるアズサとは対照的に、ルキは頭を抱える

「子供というだけでも手がかかるというのに、まさか女だったとは」

「ルキ、嫌なの?」

「嫌だろうと何だろうと、あの方の命なら従う他ない
ただ、オレたちは男だ……全く、先が思いやられるな」

額に手を当て首を振るルキに、コウの手を握るユキの手に力が入る

「大丈夫だよユキ、考え事が多いんだよルキくんは

それよりアズサくん、髪整えてあげてよ」

「うん、分かった」

コウに促され、ユキはアズサの前にある椅子に座った

「オレはアズサ、よろしく、ね」

ルキやコウと違い、少し不気味な雰囲気を漂わせるアズサに、ユキは身を固くする

「ねぇルキ、オレ、女の子の髪は切ったことない、けど、上手く出来るかな」

「今日だけの事だ
鬱陶しくない程度に短くしてやれば、明日にでも美容室へ連れて行く

切り過ぎるなよ」

「分かった」

ルキの言葉に、アズサがハサミを手に取った

「ユキ、大丈夫だから、目を、閉じて?」

ユキは少しビクビクしつつ目を閉じた

「切り過ぎないように、鬱陶しくない程度に、短く………あ」

アズサの持つハサミがジャキンと音を立てるとパラパラと髪が床に落ちる

「……やってしまったか」

ユキの前髪は眉毛の2cm上で真っ直ぐに切られていた
ルキはため息をついたが、コウは明るい声を発した

「え、可愛いじゃん!」

「かわいい?」

コウの言葉に、ユキは前髪に隠れてしまっていた、まん丸の大きな瞳をコウに向ける

「うん!可愛い可愛い!ね、ルキくん、アズサくん!」

「うん、これはこれで、可愛い」

「切り過ぎなような気もするが……まぁコウが言うなら大丈夫だろう」

「後ろはこうなったら流石に困るから、縛っちゃおうか」

コウは持っていた髪ゴムを取り出すと、ユキの髪を軽く三つ編みにして束ねた

「よし、完璧!」

コウがそういうと同時に、玄関の戸が大きな音を立てて開いた


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