頭の中の花畑。

□橘蒼星〜短編集〜
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ハロウィン


「蒼星くん、今ちょっと大丈夫?」
「ああ、まどかさん。大丈夫たまよ。どうしたの?」
「これ、蒼星くんに渡したくて。」
“はいっ!”
と行って渡した。その物は…
「ありがとう。嬉しいよ!
でも差し入れにパウンドケーキなんて珍しいね。」
蒼星くんの好き嫌いを知ってからいつも差し入れに甘いものは一人の時は避けていた。
…。
少し蒼星くんは考えたあと
“ああっ!”
と声をあげた。
「もしかして、ハロウィンだから??
手作りだよね?」
「うん!甘いの苦手って蒼星くん言ってたから!
偶然本屋行ったらこれが目に留まって、作って見ようと思ったの!」
“この本!!”
と言いながら本を見せる。
そこには
『コーヒータイムにぴったり!
コーヒーと食べたい甘さ控えめのスイーツ』
と書いてある。
本当は少し蒼星くんとコーヒー飲みながら食べられたらと思ったのだがこの事は秘密。
「まどかさんがそこまで俺の事を考えてくれたなんてなんと言ったらいいか、本当に嬉しい。
ありがとう!」
そして蒼星くんは私の思いを知ってか知らずか
「今事務作業がきりのいい所まで終わって少し休憩しようと思っていたんだ。
そうだ、まどかさんも一緒にコーヒータイムでもしながら食べようか?
そういう目的の本みたいだし。」
“待っていて。今コーヒー淹れて来るね”
そう言って席を立ち上がり淹れにいく蒼星くん。
「あっ、コーヒーなら私がっ」
とにかく休んでもらおうと声をかけるが蒼星くんは
「ケーキのお返しだよ。
これくらいさせて。」
と言った。
蒼星くんって本当に面倒見が良くてお母さんみたい。
なんて思っているとコーヒーをふたつ持って帰ってきた。

「まどかさん、お待たせ。」
そう言い蒼星くんは私の前にコーヒーを置いた。
「ありがとう!
それで、どうかな?」
“いただきます”
と蒼星くんは言うとパウンドケーキを口に持っていった。
「!
甘さ控えめでとても美味しいよ。コーヒーに良く合うし、これは俺好きだな。」
なんて言い
“ほら、まどかさんも食べて”
と呟く。そして
「はい、あーんして?」
「えっ、ええ!!蒼星くん?
…あ、えと、あーん…。」
食べさせてくれた。
正直かなり恥ずかしい。
多分私の顔は真っ赤に染まっているだろう。
「まどかさん、真っ赤だよ。
かわいいな」
そう言われもっと火照る私だった。

そのあとも30分くらい甘い甘いコーヒータイムをふたりきりで満喫した。
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