新人がかわいすぎる件
□プロローグ
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あのヒト達のせいで相当な時間を無駄にした。
…ホント、最悪。
結果ギリギリ間に合って身体を売るのは免れ、全部返せて、妹や叔母を守ることはできたけど。
このことを考えると本当に最悪って言葉しかみつからない。
…よし、気分転換に唄うか。
櫻夜は小さい頃から歌が好きだった。聞くのも唄うのも。
その間だけ全てを忘れられるから。
〜♪〜♪
たまにこう、夜の誰もいない公園の開放的な夜空の下で唄うことをしていた。
この時間が好きだった。
いや、いつの間にか人前で唄えなくなっていた。
唄おうとすると思い出すのだ。両親に言われた『汚ない歌だ』という言葉を。
だからだろう。唄おうとしなかったせいで他の教科は学年で5本指に入る位優秀な彼だが音楽だけ成績は地を這っていた。授業態度が不真面目だと。
〜♪
「蒼星、こっちから聞こえるぞ!」
「ほんとだね。」
っ!
人の話し声がして彼は急いで帰る準備をする。
なんて話しているのかは彼、櫻夜には聞こえなかったが、聞かれたかもと思うと
“姿は見られてはいけない”
気がなんとなくしたからだ。
だから足早に立ち去った。
その時遠目に後ろ姿を見られてしまったのは言うまでもない。