伝われ、心。
□出会いました。
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「どうだ、音楽をやってみないか!?」
入学してから数日。
私はとあることに悩まされていた。
元々公立の学校に通っていた私の家は、ごく普通の家庭だった。
私が中学生になり、父の食器会社が成功した。母は天文学者として、新たな星を発見して注目を浴びている。
そんなこんなで、『裕福な家』カテゴリーに分類された立花家の娘である私は、私立桜蘭学院へ高等部から編入することになったのだ。
ここまでセレブセレブしてる学校とは思わなかったけど。皆気さくで良い人だったので、すぐにれうは溶け込むことができた。
その中で悩みができてしまったのだ。
「君は美しいけど、その中でも君の瞳は非常に素敵だ!」
「は?」
勢いで理事長子息の須王先輩に態度を悪くしてしまった。
まあでも、それはしょうがないとおもう。
顎を持ち上げられてバカ………キザなセリフを言われてしまっては、誰だってそうなるはず。
「音楽が好きそうな目をしているねえ…」
嫌そうにする私に気づいているのか気づいていないのか、そのまま続ける。
「吹奏楽部に入らないか??」
「…え」
吹奏楽部。
懐かしいな、それ。
とは言っても、やめてから1年も経っていない。
しかしれうにとっては、随分と前のように感じた。