夢小説(イケメン戦国)

□甘い仕置き(織田信長)
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「貴様、一体どれ程この俺を待たせたら気が済むのだ」

苛立ちをあらわにした低く、威嚇する様な声音。

私はビクリ、と肩を震わせた。

手には縫いかけの着物。
きりがいい所までと思ったが、またそのまま集中してしまった……

「あ………」

我にかえり、やっちゃった感。

「ごめんなさい。少しだけって思ったんだけど…」

慌てて片付ける。

「愛華」

信長様のいつもより低く響く声。
背中がゾクリとして振り向くと、強い眼差しが私をまっすぐ見つめていた。

「貴様は、この俺をまだ待たせるのか?愛華、今すぐに来い」

高圧的な声音と言葉。
それでも、私の足は信長様が差し出した手へ吸い込まれるように向かう。

差し出された手にそっと自分の手を重ねると、ギュッと強く、優しく握り返される。

そのまま、くいっと引かれ私は信長様の両腕の中へすっぽりと収まってしまった。

横抱きにされ、固い胸に頬が触れる。

目を閉じると、トクン、トクンと、鼓動が聞こえる。

ぴったりと寄り添った私。大きな掌に背中を撫でられ、感じる温かさに身を任せていると…

「貴様、仕置中にくつろぐとはな」

撫でる手の優しさとは正反対の言葉。

聞き間違いかと思い、慌てて顔を上げると、意地悪そうに笑みを浮かべた信長様と目が合った。

「え…えっと……」

ヤバイ予感がする……。そっと離れようと腕に力を入れる。
…が、離れる前に素早く抱きしめられてしまう。

「あ…」

「貴様の考えている事など、容易い」

そう言って、信長様は私の着物の帯を手慣れた仕草でするりと緩める。

はらりとはだけた合わせを慌てて手で押さえると、咎めるように信長様が尖い視線を向ける。

「仕置きだ。口づけをしろ」

「え…、あの、」

「早くしろ」

鋭い眼差しのまま、言い放たれる。


…怒ってるの?
言葉に出せないまま、そっと唇を重ねた。

重ねた唇は熱く、少し開き、吐息が漏れる。
何度か角度を変え、キスを繰り返す。

「ん…」

薄く目を開けると、信長様のひんやりとした視線と絡む。

「信長様……」

キスには答えてくれているものの、いつもの様に奪ってくれない。

切なさに、ねだる様に信長様の首に腕を回し…乞う様に指先で首筋を触れ、撫でる。
それでも、涼し気な表情のまま動いてくれない。
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