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高木side

最近、思うことがある。
...なんだか、有岡くんと伊野尾くんの仲があまり良くないこと。
伊野尾くんは知念の事ばかり気にして、有岡くんをほったらかしてるような気がする。
いや、気がするんじゃない。
ほったらかしにしてる。これ確信ね。
前まで見てるこっちがウザくなるほど有岡くんにベッタリだったのに。
今もほら、有岡くんが伊野尾くんを誘おうとしてるのに、断ってる。
なんだか、有岡くんも諦めたような、悲しそうな顔をしてる。
捨てられた子犬みたいな。

「なに〜?いのあり倦怠期なの?」
「っ...違うよ!そんなんじゃないよ!」

薮くんの問いかけに、明るく返した有岡くん。
でも俺は、見逃さなかった。
一瞬、超一瞬なんだけど有岡くん、すっげえ泣きそうな顔してた。

「俺も、もう帰るね。バイバイ。」

そう言って、有岡くんは荷物を持って帰ろうとした。
なんだかほっとけなくって、可愛そうで。
だから思わず有岡くんに声をかけた。

「待って有岡くん。」

有岡くんは不思議そうな顔をしながらも「どうしたの?」って立ち止まってくれた。

「一緒に帰ろ。俺、今日車だから送るよ。」

こんなのは口実で、ただ有岡くんの側に居たかっただけなんだけど。
そんな俺の下心も知らずに有岡くんは「ホント?ありがと。」といって笑ってくれた。

二人揃って、メンバーの皆に別れを告げて楽屋を後にして、俺の車が停めてある地下の駐車場に向かう。
車に乗り込んで、出てすぐの信号のところで一旦止まって有岡くんに質問をした。

「最近、伊野尾くんとなんかあった?」

有岡くんは少し悲しそうな顔をしながら「別に...」とだけ答えた。
けど、俺にはわかる。
伊野尾くんほどでは無いけど、昔から有岡くんのいろんな事を知ってるから。
それに、伊野尾くんにとられちゃったけど、有岡くんの事が好きだったから。
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