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有岡side

俺が、高木に「別に、」って答えたら高木に「嘘。絶対になんかあったよね?」と返された。
ホント、そーいう所、高木は鋭い。

「...あった...よ。というよりは、現在進行形。」
「やっぱり...。なにがあったの。」

高木は、心配そうな顔で俺を見た。
なんだか久しぶりに、誰かに心配された気がする。
なんだか、嬉しいなんて思いながら。
俺は、高木に少しずつあったことを話した。

「伊野ちゃんが、最近、知念ばっかり気にしててね、それで.......」
「そっか。有岡くん、ツラかったね。」

運転しながらだけど、高木は真剣に俺の話を聞いてくれた。
運転してる高木の横顔がなんかちょっと、かっこよくみえた。

「ね、今日俺んち来なよ。」

予想もしてなかった高木からのお誘い。
もともと今日は雑誌撮影のあと、明日がオフだから伊野ちゃんを家に呼ぼうと思ってた。
だから、今日はもう何もなかったから。

「いま、俺んち向かってるんでしょ?なら家に来て?ね?」
「いいの?」
「うん!途中コンビニ寄ってこ。」

なんて。

なんだか、伊野ちゃんなんてどうでもいいやって思い始めてしまった。
高木が家に来てくれるって聞いて、心なしかドキドキしてるような気もする。

「ん、降りていいよ。」
「うん」

近くのコインパーキングで高木が車を停めて、俺の家の近くのコンビニに二人で向かった。

「あ、俺これ食べよ。」
「こっちも美味しいんだよ、高木。」
「マジか。えーめっちゃ迷うw」

コンビニでこんな会話をしながら、二人で飲み物とお菓子を選ぶ。
あれ、伊野ちゃんとこんなことしたことあったけ?
なんか、高木とのがカップルらしいやって思ってしまう。
高木が「いいよ、俺が払うから」なんて言ってくれて、お言葉に甘えてお菓子と飲み物を買って貰う。
それで、俺の家に行って、最近の伊野ちゃんとの話を高木に全部話した。
その時も、高木はちゃんと耳を傾けて話を聞いてくれた。
途中、俺が泣いちゃったらぎゅって抱き締めてくれた。
それがすっごく嬉しくて、伊野ちゃんに抱き締められたときの何倍もドキドキした。
それから、俺はなんとなく、高木が好きなのかなって思い始めた。


ごめんね知念。
知念が言ってくれたこと、もう出来ないかも。
もう、伊野ちゃんにちゃんとサヨナラ言わなきゃ。
多分、最初から、伊野ちゃんの事が好きだったのは俺だけ。
伊野ちゃんと過ごしてたのは、もしかしたら物凄く無駄な時間だったのかも。
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