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知念side

ここ最近、伊野ちゃんは何かにつけて僕を誘うようになった。
例えば、ご飯を食べにいくとか、休日に一緒にお出掛けするとか。
なんとなく、伊野ちゃんについてくうちに伊野ちゃんが僕の事が好きなんじゃないかと思うようになった。それはもう分かりやすかった。
でも僕は、伊野ちゃんの気持ちに気づかないフリをしていた。
伊野ちゃんには大貴が居る。
いくら伊野ちゃんでも、大貴を裏切るような事をするのは許せなかった。
第一、僕には涼介が居るから。

ある日、僕は迷ったけどこの事を大貴に言うことにした。
僕の気持ちも全部。

「......ていうこと。」
「そっか。ありがとな、知念。」
「あのね、僕は伊野ちゃんと付き合う気なんてないよ。僕には涼介が居るしね。」
「分かってるよ。なんか、伊野ちゃんが、ごめんね。」
「大貴が謝ることじゃないでしょ。」
「ん、そうかもね。」
「あのね、何があっても伊野ちゃんと幸せで居てね。もし、伊野ちゃんにコクられたら僕は同じこと言うから。」
「幸せに...ね...。」

こんな会話をした。

そして今、僕は伊野ちゃんに告白された。

「知念、俺ね、知念のことが...」
「好きなんでしょ?でもごめんね伊野ちゃんとは、付き合えないの。」
「え...」
「大貴を裏切るなんてサイテーだよ、伊野ちゃん。大貴の事、好きじゃないの?ねえ?」
「...だって、だってさ、」
「だってじゃないよ。ねえ、お願い、大貴の事を幸せにしてあげてよ。僕じゃなくて。」

伊野ちゃんにお願いしているとき、僕の目は涙でいっぱいだった。

「...そっか、そうだよね、ごめんね知念。」
「え...?」
「俺が本当に好きなのは、大ちゃんだ...」
「...そうだよ。だから早く大貴の所に行ってきなよ。」

伊野ちゃんは僕の言葉に頷きながら、大貴の所にいった。
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