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□イチゴと好きの話
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「りょーすけ、イチゴ食べないの?」

そう言いながらはむはむとイチゴを頬張る俺の可愛い恋人。
食べないの?なんて訊いてるけど、多分こいつ、俺の分残す気ない。

「食うけど、俺の分残す気ねーだろ」
「あるよ、りょーすけが食べてないんでしょ?」

なんたる言い訳。
食べようとする俺の手を阻止しながら食ってるじゃねーか。

「ほらほら、りょーすけが食べないと可愛い僕がポニョになっちゃうでしょ?」
「お前が、自らポニョになろうとしてんじゃんw」
「てへ、ばれた。」

そう言いながら食べるのをやめた。
って、あぁっ!

「イチゴが半分しか残ってねぇ!」

あんな、山盛りパンパンにボールに入れてたイチゴがっっっ!!
知念、食い過ぎだろ。

「お前なぁ、食い過ぎんなよ。」
「イチゴの食べ過ぎ位で細かい、りょーすけ。」
「うっ、だって....」
「第一さ、僕とイチゴのどっちが大事なの?」

あー、もう!
なんでこう、話をややこしくするのかな!
なんで、自分とイチゴを比べんの!

「そんなのさ、言わなくてもお前わかってんだろ?」
「わかってるよ、でもりょーすけの口からちゃんと聞きたいの。」

そう言って困ったように、悲しそうに笑う知念。
って、イチゴからこんなにシリアスっぽくすんなよ〜。

「俺、いつも言ってるつもりなんだけどな。」
「でも、もっとりょーすけから聞きたいの。」
「じゃあ言ってやるよ、侑李。好き、大好き、愛してる。」

そう言うと、フフフと幸せそうに笑う知念が可愛くて。
もう何か、イチゴの事なんかどうでも良いやって思い始めた。
そんな日。








「えー、山田さぁ、確かに俺日記書いてみればって言ったけどさ、」
「なんか文句あんの、大ちゃん。」
「知念の事しか書いてなくない?!後半ほぼ知念じゃん!」
「は?」
「いや、なんでもないですごめんなさい....」
「ちっ....」
「ひっ...伊野ちゃぁん...。」

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