君と私が落としたもの

□たくさんの「初」
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2月

(うわぁ、寒い!!)
今にも凍えてしまいそうな
寒さを全身に受けながら
私は通学路を歩いていた。

学校内に入ると、カップル
達がソワソワしたり
男子がワクワクしていた。
そう、今日は2月14日
バレンタインだ

『チョコいる人取っててね〜』
『いるー!!』

私は女子力をこれでもかと
見せつけんばかりの可愛らしい
ポッキーチョコを2本ほど貰って
席についた。
(梨花はもう上げたんかな?)

梨花の方に視線を向けると
ひとり黙々と読書をしていた
(あらら、渡すにも渡せないのね…)
肝心のチョコを持ってきているのか
気になったので、梨花に聞いてみた

『梨花ー、チョコ持ってきとん?』

『うぉぁ、和穂ちゃんか。
なんで、それを知っとん!?』

『姫乃から聞いたで〜』

『もぉー、姫乃ちゃんすぐ喋る〜
渡すかわからんけど
一応、持ってきたよ』

『折角、持ってきたんやし
渡したほうがええって!』

『やっぱり?』

『うん』

『じゃあ、放課後に渡してみるわ』

『うん、頑張ってな』

私はこの時初めて
梨花のことを尊敬したかもしれない
私だったら本気で好きな相手に
チョコを渡す勇気すら
わかないだろうから。
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