17歳の悪魔
□9 セキニン
1ページ/4ページ
俺にも責任がないとは言えない。
家に泊め面倒を見ると約束したのだから。
薬を盛られたとはいえ、俺の油断が引き起こした事態ともいえる。
だから、俺には最後までこの少女の面倒を見る責任があるはずだ。
そんな考えから俺はいつものように彼女を連れ帰った。
「ねぇ、私別にお金に困ってるわけじゃないんだけど。」
部屋に入ると、ふぶきはもう演技するつもりはないのか、冷めた眼差しをしていた。
「わかっている。だが、それはあのバイトをしていたからだろう。」
「そうよ、当たり前じゃん。普通のバイトで学校通いながら1人暮らしなんて、できるわけないでしょ。」
彼女は三つ編みを片手でバッと後ろに跳ね除ける。
「だからこの部屋を貸す代わりに、そのバイトを止めろと言っているんだ。」
そう言うと、彼女はふっと真剣な瞳になって俺を見つめた。
「…なにそれ。言ってる意味わかんない。」
確かにこれまで俺は彼女が金に困っていたところに、騙されて売春をさせられた被害者だと思っていた。
その為に救いの手を差し伸べたのだ。
「ああ、またお得意の正義感ってやつ?」
ふぶきは何か気づいたような顔をすると、以前のあどけない笑顔ではなく妖麗に鼻で笑った。
「…お前は、好きであんなことをやっているのか。」
しかしそう言うと、ふっと表情に陰りがさした。
「そういうわけではないのだろう。だったらそんなことからは足を洗え。」
「…あんたがそこまで自分を犠牲にする意味って何。」
彼女は俯いたまま、ポツリとこぼした。
ふぶきはどこか損得感情で物事を考えているらしい。
その為か俺の行動が理解できず、怪しんでいるようだ。