17歳の悪魔
□3 シシュク
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「でも、どうしてこんなによくしてくれるんですか?」
その言葉に普段図書館で会う彼女の姿が思い出され、自然と笑みが浮かんだ。
「お前立海の生徒だろう?俺も2年前はそうだったから、不思議と放っておけないんだ。」
「え、柳さんも立海生だったんですか?」
彼女は嬉しそうに両手を合わせる。
「というと今は大学2年生ですよね。どこに通ってるんですか?」
「そのまま立海大に通っている。」
「わぁ、なんだか凄く近しい人だったんですね。嬉しいです。」
俺が高校の先輩だったということを知り、にこにことあどけない笑顔で微笑むふぶき。
彼女は愛らしい顔立ちのせいか、どこか幼く無垢な雰囲気を振りまいていた。
「柳さんって見た目通り優しい人なんですね。」
「どういう意味だ?」
「ふふ、以前図書館で探してた本を見つけてくれて、優しそうな人だなって思ってたんです。」
そう言われ、そんなこともあったなと思い出す。
「大方の本の位置は把握している。それにお前の借りる本の系統はわかっているからな。」
「…お金がないから、図書館で借りて勉強するんです。」
ここに来てやっと彼女が図書館で問題集や参考書ばかりを借りていた理由がわかった。
やはり生活に困っているんだろう。
そうとわかるとますます彼女をどうにかしなければと思う。