17歳の悪魔
□8 ショウタイ
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「なんだ、後つけてきたの?」
開き直ってそう言えば、彼はじっと私を見つめる。
「どうする?警察に通報する?」
まあこいつの洞察力は侮れないし、いつかはこんなことが起こるとは思っていた。
やっぱり既成事実作っといてよかった。
「ああ、でもそうされたら困るのはあんただって同じだよね。強姦されたって私が警察に泣きついたら困るんじゃない?」
夜は必ず彼女の所に行っちゃうからどうしようかと思ってたんだけど…。
あんたが酔ってたあの日、ラッキーだったよ。
「大の大人のあんたと、いたいけな少女の私。どっちが庇われる立場かなんてわかりきってるよね。」
「…やはりあの日、お前が何か工作したんだな。」
そう言う彼に私は思いきりあの少女の笑みを浮かべる。
「うん、スポーツドリンクに媚薬と睡眠薬を混ぜたの。」
こうしておけば、こいつだって自分の立場が大事だろうし私を警察に通報することもない。
それにこいつの性格からして罪悪感でますますそうし難いだろう。
彼は暫し沈黙すると、ゆっくりと口を開いた。
「…いつからこんなことをやっている。」
そんなこと知ってどうするんだろう。
「高1の時から。」
でもまあこいつとも最後だろうし素直に教えてやる。
私は1年前あの家が嫌で神奈川に出てきた。
生活保護を受けている実家で私は密かにその金を貯めて、高校から立海に入学した。
けれどあくまで補えるのは入学金だけで、家賃や生活費は当然実家からの仕送りなんて一切ない。
だから私はちょうど1年前の夏休みから、こうして金を稼ぎ出した。
「実家が貧乏というのも嘘なのか?」
「それは本当。そうでなければ、こんなことしてないわよ。」
彼は何か考えるように視線を落とす。
「まぁ信じるか信じないかは、あんたの自由だけど。」
私はそれだけ言うと背を向けた。